ティータイムのちょこっとした時間のおともに、素直だけど、一言では言い表せない物語はいかが?物語は「レモン」というキーワードを中心に展開されますが、私的にはどの物語も「紅く」感じました。
『夕紅とレモン味』。このタイトルから、どんな物語を連想しますか?楽しい話? 切ない話? この短編集は『夕紅とレモン味』と言うタイトルから考えられたストーリーが、たくさん詰まっています。同じタイトルなのに、全く異なる物語が展開されるから、不思議ですね。描かれる多彩な物語。話毎に受ける印象が全く違ってきますけど、どれもがタイトルと内容が合っていて、それでいて心に響く。素敵な短編集となっています。
同題異話のものです。1話完結のレモン短編集です。1話目。さすが恋愛マスター。人生が流れます。 切なくも、美しいお話です。2話目、甘酸っぱいです。3話目は少し味が違います。4話目幸せの味。5話目ポエムでくるとは。
同題異話企画の参加作品で、今回のお題は『夕紅とレモン味』。このタイトルからそれぞれどんな発想で物語を作っていくかがこの企画の見所なのですが、今回作者様の野々ちえさんが書かれたのは全部で4作品とポエムが一つ。それぞれ全く違った内容で、暖かくなるものもあれば切ないものもありました。始まりは同じでも、想像次第で物語は無限に広げる事ができるのかもしれませんね。
全く違うタイプの三つのお話です。一つ目は、長く長く思い続けた女性の強くも切ないお話。二つ目は、読後爽やかで、主人公達を見守りたくなるような可愛いお話。最後に加えられた三つ目は、自分で向き合うのは、きっと本人も苦く感じるお話。どれも皆、心に触れてくるお話です。多彩な感情を描く短編集。色々なレモンの味を感じたい方にお薦めします。
とある人物の初恋と、その行く末のお話です。レモネードの味と、夕空の美しさが効果的に用いられ、暖かな印象を残してくれます。
タイトルがもう、初恋をネタにしろといっているようなものですね。はい、初恋です。だけじゃない。過ぎ去ってしまった、幸せと悲しみとゆっくり思い返して静かな気持ち。遠くから眺めているからですね。遠くまでくるのが大変なのですけれど。
夕紅とレモン味をタイトルにお話を書く自主企画の参加作品燃えたぎる熱量も、飛び跳ねるような若さと甘酸っぱさもないかもしれないけれど静かに、そして深い愛がありました。これが女性最後のノロケなのだとしたら、とてつもなく甘ったるくて、他人が簡単に飲めるものではないのかもしれません。