自白

夜依伯英

男は語った

「血の匂いが、快楽としてずっと残っている。金槌を振り下ろす感覚も、あの猿どもの悲鳴のようなものも。最初は純粋な好奇心だった。ヒトの頭を金槌で打ち砕いたらどうなるのだろう、と。でも、それを実際に行動に移した瞬間、世界は変わった。酷くつまらなかった無彩色の世界に、まるで花畑のような彩りが加わった。まるで美しい絵画のような。


 気に入ったから首から上を切り落として、家に持ち帰って飾ってみた。戦利品みたいでかっこよかった。それから、俺は殺す度に頭部を持ち帰ることにした。首から下には興味がなかった。だから、採集現場に置いて帰った。


 4匹目の採集からは、殺し方にアレンジを加えた。毎回同じ方法じゃつまらないし、金槌で頭を砕いても、噴水が見られるわけじゃない。金槌ではなく、ナイフを使うことにした。頸動脈とやらを狙ってすぱりと切るのだ。すると、動脈のおかげで面白いほど血が吹き出る。精液をかけられて喜んでいるドMな女の気持ちが少しは理解出来た」


「4人目……鈴木明子さんか」


「誰だそれは。そんなことより、俺の話を遮るな! 殺すぞ!


 ……俺は次に、一度に沢山殺してみようと思った。そう思ったとき、神が肯定して下さったのか、家が目に付いた。ドアノブを回すと、鍵など掛かってなく簡単に開いた。つまり、殺してくださいということだ。ドMだな。興奮した俺は、玄関を上がったところで服を脱ぎ、寝っ転がって自慰をした。最高に気持ちがよかった。あんな体験は初めてだった。なんで今までしてこなかったのか後悔した。順当に射精したあと、全裸のまま家の中を捜索した。そこには4匹のヒトが居た。雌が3匹、雄は1匹だけだった。当然、俺は雄を殺した。そのあと、雌全員の足の健を切り裂いた。歩けなくしたんだ」


「理由を聞かせてくれるか?」


「慌ててるのってなんか滑稽だからな。


 それで、俺はその雌3匹をレイプした。さっきイったばかりだったから時間が掛かったが、その時は問題ないだろうと思った。事を終えたあと、いつものように首を落としてバッグに詰めた。


 その時だった。お前らが来たのは。パトカーのサイレンが聞こえた瞬間に、俺は嬉しかった。やっと俺の偉大さに気づいたのかと。でもお前らは何故か俺を逮捕した。何故だ?」


「お前が法を犯したからだ」


「何言ってやがる。俺が犯したのは雌のヒトだけだ」

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自白 夜依伯英 @Albion_U_N_Owen

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