冥土メイド

アスラ

第1話 冥土の刺客

冥土、それは死者が辿り着く暗黒の地である。三途の川を超えた先に生前悪行を積んだ者たちの霊魂が集い、地獄の審判を受けようとしている。

「貴様は釜茹で地獄4000年の刑だァ!」

閻魔庁内に羅刹の怒声が響き渡る。刑の宣告を受けた魂は力なく指定された地獄へと向かう。中には待ち受ける苦行に逃亡を謀る魂もいたが

「オラァァァ!!逃げ出そうとしても無駄だァ!」

棘付きの金棒を振り回す鬼の前に叩きのめされるのみだった。

現世で悪事を働いた者はここで罪を償い続けるのだ。運命に抗うことは出来ない。

しかしそんな殺伐とした光景が繰り広げられる冥土に突然刺客が現れた。

「お、おい!何だ、あれは!?」

現世と冥土を繋ぐ門から眩く輝くシルエットが浮かび上がる。

「まさか、天国の連中がやってきたのか!?」

徐々にその全貌が現れてゆく。凄まじい後光を背負った人物は、地獄を吹き荒れる業風にスカートを靡かせ、その身に纏っているのは......メイド服?

「地獄の者共よ、私は冥土に秩序と平和をもたらす冥土メイドですわ!」

周囲は唖然とした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

冥土メイド アスラ @asura831

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る