第2話 気付いてたんだ...

高校の衝撃事実を知った昨日。何をするにもどこへ行くにも事実が付きまとった。


(高校はリア充がいっぱいなんだ。私も誰かと付き合わないと...)


困惑は不安を呼び、不安は焦りを呼んだ。両親と姉が寝静まってから母親のノートパソコンを持ち出しトイレに隠れる。クリック音が静寂に響き渡る。ほんの小さな物音でも敏感に反応し手を止めて様子を窺う。鍵はかけているがもし合鍵で開けられたら...。そんな妄想が頭の中を駆け回っていた。


『高校生の方に質問です。高校生って彼女や彼氏を何人も作るのが当たり前なんでしょうか?高校生で彼氏ができたことがない私は遅れているのでしょうか?』


ネットの質問投稿サイトに勢い良く打ち込む。夜中だからすぐには回答もこないだろうと思い、そのままシャットダウンしようとした時だった。自分のスマホにメールの着信音が響き渡る。


『高校1年の女子です。私は今の彼氏で3人目です。だけど周りにはまだ付き合った事ない人もたくさんいますし、不自然なことではないと思いますよ。彼氏が何人も、というのはただ単に二股です。当たり前ではないです。安心してくださいね。私もたくさん質問しているので答えて頂けると嬉しいです。』


パソコンを開くと、結構長文な回答が返ってきていた。胸をなでおろし、深く深呼吸をする。いっきに心に余裕ができた。少しでも恩返しがしたい。そんな思いで〈回答者がした質問〉のURLをクリックする。


「えっ」


思わず声が出てしまった。すぐに口を手で抑え、辺りを確認する。幸いなことに、家族は起きていないらしい。確認の為にもう一度凝視するが自分の目に間違いはなかった。


『高校1年生女子です。私は最近クラスの人気者の男子A君と付き合い始めたのですが、どうも二股しているみたいなんです。A君にあまり人に知られたくない。と言われているので他の女子には言っていません。ラブラブな話をできるのは学校の人気がない階段の踊り場と携帯の中だけです。前に見ちゃったんです。A君が他の女子と帰っている所を。A君がいるはずの階段の踊り場に他の女子がウキウキしながら入っていく所を。これって二股ですかね?』


(間違いない。この人は私の学校の人だ。)


そう確信した私はすぐにこの人が誰か調べ上げることにした。元々機械は得意だったからかはスムーズに進んだ。

1時間もたたないうちにこたえは出た。同じ学年の間宮真弓まみやまゆみだ。


(この人...前にいた人だ。)


調べているうちに、同じような悩みを抱えている人に何度も接触した。


(皆...気付いてたんだ...)

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私に恋愛はまだ早いです! 漣優 @sazanamiyuu1124

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