第17話
にちようび。
ぼく、いしきれんはかいものにでかけました。そしたら、ここさいきんからんでくるおんなのひとがいてからまれました。
だから、けいさつをよんでたすけてもらいました、まる。
「……いいかい?警察は痴話喧嘩を止めるために呼ぶものじゃないんだよ。暴行とか殺人までいきそうになるなら呼んでくれて構わないが、警察のオジサンにイチャイチャを見せるために呼んではいけないよ?」
「いや」
「いやも、ですがも、クソも無いの。オジサンが欲しいのはね、はい、という返事だけなの、わかる?」
「えっと」
「彼女さんも、彼氏さんが何をしたかわからないけど周りに迷惑をかけるようなことしてはいけない」
「か、彼氏じゃ……!」
「よし、では私は勤務に戻るよ。彼氏クン、例え彼女さんに何をされても耐えるのが男ってものだ。頑張りたまえ」
そう言って、警察のオジサンは去って行った。なんて大人力。対応がマジモンのガキに対するものすぎて泣きそう。もう十五歳になってるはずなのになぁ。
地べたに正座という態勢から立ち上がり、ズボンについていた砂をはたいて落とす。やっぱり、怒られるとき正座になるのって日本人の血だね。土下座は日本の文化であり、一種の暴力ですな。人前でやられてる側って絶対奇異の視線を向けられるからね。皆も責められてるときとか理不尽なこと起きてるときは土下座しよう、よくわからんうちに解決するかもしれないぞ。解決しなくても俺は責めないでね?
さて、
「買い物の続きするか」
「ちょっと待ちなさいよ!」
歩き出そうとしたら肩を引かれ止められる。フッ、たかだか女子生徒のパワーで俺を止められるとでも?
無視して進もうとした―――えっ?
待って動かないんですけど。踏ん張っても進まないんですけど!どんなパワーしてんだこの怪力女……!
「は、離せ……!!」
「な・ん・で無視するのよ!」
や、やめろォ!
これ以上やられたらまたポリスメンが来るだろ。もう嫌なんですけどー。
「で、通行人Aさんは俺に一体何のようだ帰れ」
「そういうツンデレはいらない……帰れ!?」
なぜ俺がツンデレ扱いなのだ。解せぬ。
綾瀬は頬膨らませてこちらを睨む。まあ、見てくれがいいから仕草はとても可愛い。
「ていうか、話しかけようとして無視したの異識君でしょ。なんで私が悪いみたいに言うの」
「用事があるからめんど―――余計な手間が増えそうだから」
「ちょっと言いかけた言葉も、言われた言葉も酷いんですけど!」
「綾瀬キャラ、キャラが崩れてる」
「じゃかーしいわ!」
ひぇ…女の子って恐い。
そもそも、なんでこいつ絡んでくるし。暇なのかな。
「んで、何用?」
「何用って知り合いに休日会ったのだから挨拶ぐらいするでしょう」
コミュニケーション強者かよ。俺なんて知人と街中で会おうが平気でスルーして自分の目的済ませちゃいますよ。
そもそも、綾瀬ってそんなことしなさそうだが……。
「ああ、学校での猫被りのせいか」
「……まあ、無視したとかだと酷い噂がすぐ流れるから仕方ないのよ」
大変ですなぁ。俺は他人なんてどうでもいいか、なんて言われようと気にしないからなぁ。
「全く下らない、たかだか町で見かけた程度でなんで声をかけなきゃならないのかしら?私にだって用があるのによ」
「いや、知らんし……」
愚痴を俺にこぼすのやめてくれます?自業自得でしょうが。
「話しかけたんならもう用は済んだな。俺は予定があるからもう行くぞ」
「どこに行くの?」
「そりゃあ、いつも行くメイトとかメロブとスーパーだな」
「めいと、めろぶ??」
某有名なショップを知らないとはこの情弱美少女め。世の常識というのを知らんのか。
いわゆる、専門店みたいなものであそこに行けば余裕で時間を潰せるコンビニより凄いとこなんだぞ。皆もお店に行って売り上げに貢献しようね。
「ちなみに、俺は毎週通っている」
「そんなに通う価値がある……?」
はぁー。これだから素人は、なっちゃいないね。もうただのカスよ。激クソザコ美少女やろーですぜ。
「だからといって説明する必要はないから、俺は行く。さらばだ、綾瀬」
「私も行く」
「エロ本買うからついてこないでください」
「絶対行く」
俺の性癖を知ってどうするつもりだ。どこにも需要なんてないぞ。
間違えた。
「エロ同人誌を買うから一緒に来ないでくれ」
「頑なにえ、えちぃ物を買いに行くって道の真ん中で言うのやめてよ!」
エロは男の子に必要なもので、やる気と直結していると言っても過言ではない。
「同人誌だったらメロブか虎穴だけど俺はメロブ派だから、さ」
「言ってることの意味が分かんないのにキメ顔で言うな!」
「エロゲなら断然ソフマだが、たまに公式サイトのオンラインストアでも買う」
やっぱり特典って大事なことなんだよ。ドラマCDとかタペストリーとか好みのキャラのがあるから。でも、一番豪華なのはやっぱりソフマなんだよなぁ。個人の感想であります。
おお、顔を真っ赤しちゃって初々しのぉ。ゲへへ、どうやって辱めてやろうかしらん。
「ちなみにタペストリーだったらアングルとか……」
「聞いてないし!えちぃの禁止!!」
「もがが!」
こ、こいつ俺の口を手で塞ぎやがった。暴挙にもほどかあるだろ!
あと、またポリスメンが来るからやめようよ。知ってるアスファルトって硬いんだよ、正座したら滅茶苦茶痛いんだよ。
「もがが(あの手、離してくれます?)」
「買い物に行ってるということは暇なのね」
「もががが(暇じゃないし、話を聞いて?)」
クソ、口を塞がれているから俺の意図を伝えられない。そもそも聞く気無いんじゃねぇのこの美少女。
綾瀬は俺の口を塞いでいる手とは逆の手で拳を作り気合いを入れる。え、なんの?俺を殴るためとかじゃないよね?
「これから映画を見に行きましょう」
は?
突拍子もない提案に目を丸くする。
そして、少しの照れといつもの猫被りとは違う勝ち気な表情で綾瀬は告げた。
「まさか、
悔しいことに、俺はその表情に見蕩れ否定の言葉を紡ぐことは出来なかった。
「とうとう次回はデート回だな」
「いかにもなラブコメ展開で辟易する」
「さあ、綾瀬と蓮の距離は近づくのか!次回に期待だぜ!」
「てか、口塞がれてたから断ることが出来なかったんですけど……」
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