第12話
美少女どもと同じ高校で、なおかつ接触していたことがぱれた翌日。
学校なぞ行く気が全くわいてこず、仮病だりなんだりで休もうと思ったが今のところ皆勤賞なので行くことにする。たかだか素顔がバレた程度休むなんて阿呆らしい。
いつも通りに学校へ向かって教室に入る。
入った瞬間、教室内にいた有象無象が会話を一時止めて視線を向けてくる。
ここ最近、あのあれ。そう、美少女が話しかけてきてくるようになってからヒソヒソとこっちを盗み見ては話し合ってるカス共が多くいる。
鬱陶しいし、あまりいい気分ではない。
だから、そんな喧騒すら無視して席に座ったら速攻でゲームをするか読書をする。いわゆる、話しかけるなオーラを出すことで関わらせないようにするのだ。まあ、話しかけられても無視するんだけどね。
今回は久しぶりに厳選を行っている。次回作だと特殊システムを使用して撃ったタイプの技によって、天候が変わるようになるとか、ならないとか。なので、天候パを練習するためにアタッカーを孵化厳選している。
天候パで有名どころだと『バンドリ』の砂パ。特性すなあらしでフィールドをすなあらし状態にしてから、特性すなかきを持つモンスターつまり、すなあらし状態だと素早さが二倍になるモンスターで相手より早く動いて倒す戦法。
似たような所だと『トノラグ』とか『ペリラグ』の雨パ。砂パと同じように天候を雨にしてから、特性すいすいのモンスターで倒す戦法。
だいたい天候パは素早さで抜いてぶちのめすのが基本だからな。
後は、ちょっち古いが第五世代モンスター界パーティに確実に入っていたと言われるほどの主人公がメインのときだと『カバガブ』や『バンガブ』の砂パ。最近主流のとは少し違く、特性で素早さを二倍にして抜く戦法ではなく、特性すながくれで身代わりを置き続け回避率を上げて、相手の攻撃が外れるまで粘って剣舞を積んでぶちのめす戦法。
四つある天候のそれぞれが、晴パ、雨パ、砂パ、霰パという名だ。
まだ発売してないが、この天候パが主流になるのではと巷では予想されている。
ゆっくり実況者の死神ノートの主人公とかの名前からとった恥系実況者さんもそう予測して練習してたから多分そうなんだろう。あの人、恥とか言われてるけど滅茶苦茶強いからな。前、当たってボコボコにされた。次はぶちのめす。
それで、俺が今孵化厳選してるのは晴パエースに起用するつもりの初代御三家の草モンスター。特殊進化も得ていて使用率ランキングもそこそこのエリートの一匹。
だが、今回はあくまでも晴パエース。技構成はほぼ決まっているし、持たせる物も決めてある。努力値も特攻と素早さにぶっぱするつもりだ。微調整をかけてもいいんだが、ぶっぱでもいいのかなと思っている。特殊進化もさせる予定はないので構わないだろう。
「………ぬーん、またしてもめざぱ炎じゃない」
それに加えて特性も望んだものではない。
しんりょくもいいが求めてるのは葉緑素だ。
隠れ特性や夢特性と呼ばれるレアな個体。
孵化厳選では♀が夢特性を持っていないと孵化させた子たちは皆通常の特性となるのだ。
一応、親個体は持っているのでなんとかなるが、いかんせん必ずしも夢特性になるわけでもない。
それに加えてめざぱを厳選するとなると阿呆らしいほど時間が喰われる。
うーむ、めざ地とかめざ氷なら出来てるんだけど炎が欲しいんだよなぁ。
天候を晴れにするモンスターなら育成済みだから後はこいつだけなのに……。
むむむ、と唸りながらもう一方でスマホゲームのアプリで周回をしておく。時間は有限、効率よくやらなければ。
なんか、途中途中で机がガンッ、て揺れたりとか椅子が動いたりしたが地震でもあったのだろうか?
「おい、この陰キャ君なんも反応しないぜ。つまんな」
「もういっそゲーム機壊せば?学校に持ち込んじゃいけないもんだから、俺ら学校に貢献してるっしょ」
「ありよりのあり。てか、俺らの方が正義じゃん」
おお、今回のは6V…!
だけどなぁ、6Vだとしてもめざぱが違うんだよねぇ。
「何してるんですか?」
ふと、6V興奮で画面への集中が途切れてしまった。
そしたら、なんか少し怒り気味の声が聞こえた。
えっと、俺に対してかな?孵化厳選してまーす。
「お、凜ちゃんおはよう」
「何って、学校に持ち込んじゃいけないもん持ってきてる陰キャ君に学校の校則を教えようとしているみたいな?」
「そうそう、なんせ俺らの方が正義だしね」
何だ、俺じゃねぇのか。紛らわしい。
「……机を蹴ったりする必要があったのですか?わざわざ、周りを囲んで?」
「話しかけても反応しないから、仕方ないっしょ?」
「そうですか」
うおっ、いつの間にか机の周りでなんか昨日の美少女とクラスの高カースト連中が喋ってる。なんでここなの?
「でしたら、どいてください。私は異識君に用があるのです」
「いやいや、そんな陰キャよりさ?俺らと喋った方百倍は楽しいぜ」
「こいつまじで陰キャだしな、ギャハハ」
ねぇ、別に真実を語るのはいいけどここでやるのやめてくれない?
なんで悪口をわざわざ目の前できかないといけないの?意味不明なんすけどっ!
「根暗くーん」
そんな風に言葉には出さずに心の中で文句を言ってたら昨日のいじめっ子の方の美少女、えーと確かちーちゃんと呼ばれていた女生徒だったはず。
そいつが、手招きをして呼んでいる。根暗君という人を。誰のことだろうね?俺は根暗じゃなく陰キャなだけだから、違うと思うの。はい、そこ同じ系列に扱わない。ちゃんと分類分けがあるのです。俺もよくわかってねぇけど。
とりあえず、目がこっちを向いて、尚かつきっと俺に向かって手招きをしているので、言い争っている人たちに気づかれないように立ち上がり向かう。
「大丈夫?」
「俺の頭がか……」
やだ、この子超失礼。
「にゃはは、被害妄想激しすぎじゃない?」
何言ってやがる。
陰キャはな誰かが笑っていると自分のことを笑っていると思う自意識過剰の奴のことだぞ。俺は違うけどね!
「てか、根暗君本当に反応しないね」
「根暗じゃねぇ陰キャだ」
そこ間違えないでほしい。
それに、あんまり寄らないでくれます?良い匂いするから緊張しちゃうでしょ。
「まあ、そんなどうでもいいことは置いといて」
どうでもよくないからな。俺にとっては根源を揺るがすものなんだぞ。
「気にしないのはわざと?」
「うーむ…」
気にしないといってもなぁ。
「他人なんてどうでもいいから」
終始それに尽きるのだ。
俺にちょっかいかけようが、嫌がらせをしようが実害が出るまで反応する気は無いし。いちいち反応してたら調子に乗るからな。
「それにいつもなら早瀬が蹴散らしてるから別にいいかなぁって」
「早瀬君は他人じゃないの?」
他人だったら名前すら覚えてないわ。
「まあ、早瀬は特殊っつうか身内だしそこら辺の木っ端他人と同じ扱いするわけない」
俺の線引きは確固たるものだ。有名人だろうが大統領だろうが俺にとっては心底どうでもいい奴らでしかない。
「てことは、あたしの名前覚えてない感じ?」
「流石に昨日の今日で印象的なのは微かに覚えてるわ」
「微かになんだ……なら言ってみて?」
「ちーちゃん」
「うーん、なんとも言えない感じ!」
おかしい、間違ってはいないのに。多分だけど。
「でも、男の子からちーちゃんはちょっとそそるものがあると思わないかね?」
「ちーちゃんの価値観なんてどうでもいいわ」
「えっ、あのぉ、結局ちーちゃん呼びで決定なかんじ?」
「名前を知らないからな」
なんなら、見た目で呼んでも全然オッケー。例えばいじめっ子とか、男を手玉にしてそうとか。どれも偏見やないかーい。
「てか、あの群がってた金魚の糞のごとき奴らはもしかすると俺に用があったのか?」
「机まで蹴られてたのに自分じゃないと思ってたの!?」
俺に用があるやつなんて警察か早瀬か先生だけだしな学校だと。日々平穏がいいのよさ。
「ん、そろそろホームルームが始まる時間だな」
「マイペースだなぁ」
「何でどうでもいい奴らにあわせなきゃなんねぇんだよ?」
「にゃ~、よし時間が無いから手短に言うね」
現実ににゃ~、とか言う奴いないと思ってました。
「今日のお昼は3人で食べるからね」
美少女からのお誘い。
ふ、そんな暇があるなら厳選を―――
「断ったら先生に暴れたのレン君だって言っちゃうから」
脅しってよくないとぼかぁ思うんですよ?
「なんだかんだ言って仲良くなってんな」
「お前の目は腐ってることが今分かった」
「さて、次から本格的なラブコメワールドへレッツゴーだぜ!」
「変に煽るのは辞めて欲しいなぁ」
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