第2話
対戦をする上というより、対戦する前段階でまず考えなければいけないのは前シーズンで1位を獲得した構築と教科書構築に対抗することができるモンスターである。
相棒は決まっているので、そいつは必ず入れ、なおかつ勝てるチームを組まなければならない。
教科書構築という言葉が分からないのなら陰者の動画を見れば分かる。対戦相手に教科書構築が出てくればすぐ分かる。
前シーズンで1位を獲得した構築を考えなければならないのは、真似る人が多数出てくるからだ。
次に起点型、エース型、耐久型といったモンスターを決める。特殊や物理という型もある中でたった六匹を選出しなければならないのは、暗闇を手探りで歩くようなもの。
「蓮、おーいれんくーん」
隣でクソイケメン背高のっぽが何かほざいているが聞こえない。俺は八百匹以上の中から戦っていく六匹を選出しなければならないのだ。クソみたいな話などどうでもよいわ。
歩っている体を左右に揺らされ進路を変えさせてもらいながら思考し続ける。
「せめて前見て歩けよ」
「黙れッ、厳しい世界で生きていくんだぞ!」
「いや、フラフラ歩かれる方恐いんだけど」
「修正よろしく」
「クソ野郎か」
余計な邪魔が入ってしまったが、ぶっちゃけだいたいのモンスターは決まっている。
成長する前や、マイナーなモンスターで戦闘する奴らもいはするが大抵は実況者だ。普通に考えたら無理だろ。何で勝てんだあいつら。俺も負けたよどちくしょうが。
「それにしても人が多いな。普段ならまばらにしか帰る奴いないのに」
「うーん、相棒を活躍させるモンスター……」
「ん?校門のとこか?遠巻きに生徒たちがたまってるけど、蓮何でだと思う?」
「催眠、強制交代、素早さ……」
「ほんと話聞いてねぇよ」
やはり、相性がいいペンギンがベストだろうか?そういえば、なんだかんだで俺ペンギン育成してないからなぁ。
厳選からやらなければならないし、個体の強さを調整するのと性格も選ばなければ。ネット交換で探すしかないのか。
「あれは……おいおい校門前で絡まれてる生徒がいるぞ蓮。しかも、当事者はうちの看板美少女と名高い綾瀬凜(あやせりん)かよ」
スタスタ。
「おい蓮、聞いてないの分かってるけど今校門通れないから止まれよ」
肩に隣を歩いていたクソ野郎が手をかけようとして。
スカッ。
スタスタ。
「あの馬鹿野郎がッ、考え出すと前見えてなさ過ぎだろ!!」
今年は新作も出る。しかも、強力技や特殊進化が撤廃されてしまう。この環境で最後のシーズンなら極力上位を狙っていきたい。
軌道修正をする奴はいなく、止める奴もいない。
そんな中、真っ直ぐに進んだ。
何が起こるかは明白で、周囲にいるチラ見し続ける生徒たちはそのあまりにも馬鹿な生徒を見て驚愕する。
校門のど真ん中。手を無理矢理掴まれ嫌そうな顔をしている女生徒と、その相手である柄の悪そうな生徒のちょうど間を。
無慈悲に。
無遠慮に。
無謀に。
突入していく。
そして、衝突が生まれた。
歩くペースは少し早めで、前に行く思いは人一倍あった歩みは強制的に繋がれていた腕を離れさせ、引っ張り合いだった状況から離された両者は互いに尻餅をつく。
「キャッ!」
「ッ痛ぇなぁ、おい!!」
ぶつかった衝撃は二人だけでなく、起こした蓮にも影響を与えた。
「あれ、今何育成しようと考えてたっけ?」
立ち止まり首を傾げる。状況とは全くといっていいほど緊張感が違う。
当然、尻餅をつき恥をかかされた生徒は蓮の肩を掴み威嚇する。
「おい、何だお前はヒーロー気取りかもやし野郎が!?」
解説しておくと、蓮は自分の目つきが悪いことを認識している。それ故に常に前髪を伸ばし目元を隠れさせ、なおかつ黒縁の眼鏡で覆うことで擬態しているのだ。
しかし、今の蓮はたまたま、本当にたまたまその全てを取っ払っていた。
赤黒い瞳が肩を掴んできた生徒を捉え。
「あ?」
初対面からしたらがちでびびる目つきで相手をにらみつけたのだ。
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