第24話・新元素
あっ、あぶないっ!
まただっ、あぶないっ!
・・・ヨウシくんとチューセーシくんの重水素原子核は、周りで発生するドッカンドッカンを避けながら、天体の芯へと沈み込んでいく。
定員がひとり増えた原子核は、とても重いんだ。
なにしろ、体重がふたり分ある。
動きは鈍い。
それでも、熱くてせまい劣悪な環境に対応して、さらに暴れつづける必要がある。
天体の質量が集中する中心の一点は、最も高圧で、そのために最も熱い。
そこに近づけば近づくほど、原子核たちの暴れ方は激しくなる。
ヨウシくんたちの重いユニットも、芯に向かうにつれて、再び活性化した。
周囲の水素原子核(陽子)もまた、問答無用のものすごいスピードで飛んでくる。
うわっ、あぶないっ!
これまでとはケタ違いの勢いだ。
クーロン力の障壁は相変わらず機能しているけど、こんな勢いでぶつかられたら、いつまでもつかわからない。
もう突破されそうだ。
そしてついに、真っ向から全力の衝突が起こった。
ドッカーン・・・!
大爆発っ!!!
あれ?
またくっついたぞ・・・
今度は、三人ユニットだ。
天体の中心に重水素原子核の芯ができると、そこを重力源として、ますます万有引力のパワーが増大する。
中心部はさらに高温・高圧となり、その層に押し込められた原子核たちは、いよいよ激しく飛び交う。
すると、次なるプロセスがはじまる。
重水素原子核と水素原子核とがぶつかり合い、第二段階のくっつき方をはじめるんだ。
核子三個が参加する、新たな核融合だ。
つまり今度は、ふたり乗りの車が、チャリに乗ったひとりと正面衝突して、ドッカーン、あれ?三人乗りになっちゃったぞ・・・みたいな変則合体だ。
重水素原子核(陽子一個と中性子一個)+水素原子核(陽子単体)。
接近・・・インパクト・・・β崩壊は今回は起きない・・・そのまま核融合!・・・エネルギー放出・・・結合!
なんてことだろう、また新しいタイプの原子核が登場したようだ。
今度のは、陽子×2+中性子×1という、オカマちゃんが両手に花、的図式のやつだ。
それにしても、いろんな組み合わせの原子核があるもんだ。
いよいよこの世界に、いろんなキャラが生まれはじめたぞ。
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