第2話
ソソプトは管理長のアグナサヤに言った。
「わたしは突然にここがどこなのかがわからなくなった。帰る場所もわかりません。帰る場所があるのかも…、どうかもわかりません」
アグナサヤは当然に思った。熱にうなされては誰でも落ち着きを無くすものだ。現場監督のミミックデイリーが様子を見に来た。「ソソプトは一種の記憶喪失みたいな感じで、自分がいる場所がわからないと、急に立ち止まって仕事をしなくなったのです。」
ミミクはアグナサヤに、彼は脱水症状もなにもおこしていない事を報告した。
(一種の精神疾患のようなものか)
アグナサヤはミミクに上等な酢が入った容器を一本渡し、「半分はお前のものだがもう半分は作業員に分け与えよ」と伝えた。
正確な報告や間違った認識を指摘するものは喜ばれる。故にミミクはアグナサヤから壺一本分の醸造酢を手に入れ、そして半分をミミクの管理する作業員にわけ与えた。
エジプト @mafuda3
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