徒然インディビデュアル
冨田秀一
第1話 ある女優の随筆
古典の授業で「徒然草」を習った。自分の好きな物や嫌いな物、思いついたことをただつらつら書く。随筆というららしい。そんなことに何の意味があるのだろう。高校生の私は首を傾げた。
でも、大人になった今。日本人みんなが知っている名著「徒然草」、「枕草子」、「方丈記」、それら随筆の評価される秘密がわかった気がする。
自分の好きな物や嫌いな物を言葉に変える。+αで、なぜ好むのか、嫌悪するのか、理由をそっと添える。こんなことを繰り返していると、あらゆる人、事や物、世界を自分はどう見てるのか。どう反応しているのか。何に重きを置くのか。自分がどういった人間なのかが見えてくる。だとしたら、きっと、みんなが自分自身の随筆を持つべきじゃないか。そう思うようになった。
もしかしたら、人の随筆を読むことで、自分も共感できること。逆に共感できないことがあるかもしれない。人の物事の考え方に感動する。自分と他者との違いを感じる。これもまた随筆のいいところだ。大人になってからもう一度徒然草を読んでみる。昔の人の考え方を知るのはとても面白い。
随筆に限らず、私は本を読むのが好きだ。いろんな人の価値観、新しい知識が知れる。自分が経験できないことも疑似体験ができる。本のいいところは、自分で物事を考えられることだ。映画やテレビも好きだ。だが情報の与え方が少し押しつけがましいところがある。情報をどう解釈するか、読者である私にゆだねられている部分が大きいのが本のいいところだ。読書って古い趣味してるね、なんて友達に言われることもある。でも、最新のとか、流行の目新しさだけに目や心や時間を奪われてばかりいるのもどうだろうか。
古いといえば、私はフィルムカメラが好きだ。撮った瞬間に、どんな写真が撮れたか分かってしまうより、どんな写真が出てくるんだろうとドキドキする時間が好きだ。容量があればいくらでも撮れてしまうのと違って、一枚一枚を大切に撮りたいと思える。なんでも手軽にできることが増えた現代だからこそ、丁寧さという美徳を、今一度意識するのが大事じゃないかと思う。
丁寧さといえば、私は誠実な人が好きだ。丁寧に人と接する人たちが好きだ。不器用でも一生懸命に、相手を理解しようとしたり、みんなから信用されるような優しい人。そんな人たちが自分の周りにたくさんいてくれたらいいなと思う。自分もそんな人でありたいと常々願う。
逆に、嘘をつく人が嫌いだ。もっと正確にいうと、人を不幸にする嘘が嫌いだ。自分の評価を持ち上げるナルシストな嘘、人を騙して何か利益を得ようとする冷徹な嘘。そんな嘘つきは大嫌いだ。そうはいっても、世の中嫌いな嘘ばかりでもないようだ。
好きな嘘だってある。人を幸せにする優しい嘘や素敵な嘘。具体的にどんなのかって言うのは、言わない方が趣がある。素敵な嘘はきっと、誰にもばれない方がもっと素敵になる。
好き嫌いをいうなら、食事の好みだって大切だ。なにせ人間の三大欲求の一つなんだから。何も食べないと死んでしまうのに、選り好みをするなんて高慢かもしれない。でも、そんな高慢が当たり前に認められる時代を私たちは生きている。
一番好きな食べ物は、マヨネーズだ。こういうと、マヨネーズは食べ物じゃないよ、とよく言われる。好きな調味料は、とでも言いなおせば納得してくれるのだろうか。しかし、それでは私のマヨネーズへの愛は伝わらない。私にとって、その可愛らしい黄色の液体とも固体とも言えないものは、調味料という限定された中での一位ではなく、数限りない食べ物のなかでの一位なのだ。なんで?って聞かれても、私が美味しいと思うからとしか答えようがない。
あとはスイーツとか、甘い物にも目がない。スイーツのいいところは、甘いだけじゃなく、見た目が可愛いのも重要な点だ。ただ糖分を摂取するだけなら、角砂糖でも齧っていたらいい。可愛いことや甘いことが大事なのは、食べ物だけじゃないと思う。人生だって、辛いよりも甘い方がきっといい。たまには辛いものも食べたくなるから、人生にも多少の辛さは必要かもしれないのだけど。やっぱり甘くて美しい人生を生きたい。
甘美なものといえば、お母さんが朝食を作る音で目が覚める朝。休みの日はゆっくり眠って、アラーム音でなく、ちょっとした生活音で目を覚ましたい。もっと欲張ると、鳥のさえずりとか、自然の音で目が覚めたらいとをかしだ。トーストの焼ける香り、スクランブルエッグをフライパンで焼く音。日曜日の朝は幸せで溢れている。
幸せと言えば、なんだろう?子どもの時、よく見ていた「いいとも!」のタモリさん曰く、幸せは追い求めるものではなく、感じるものらしい。確かにお金があれば幸せ、家族がいるから幸せ、とは限らない。友達がいるから幸せ、一人だと不幸せとも限らない。その人が感じるかどうかが幸せの定義としたらしっくりくる。あなたにとって幸せってなんですか。どんな時に感じますか。
幸せのバロメーターがあったら面白そうだ。
朝、満員電車に揺られる。幸せメーターが少し下がる。でもメーターはまだ緑のラインだ。
会社で上司に怒られる。自分のミスは棚にあげるくせに…。幸せメーターが少し青い位置まで下がった。
一人でお昼を食べに外に出る。幸せメーターは低いままだ。ふと、周囲の景色に目を配る。
眼鏡をかけたブロンド美女が、喫茶店で本を読んでいる。とっても素敵だな。幸せメーターが少し上がった。
おばあさんが連れている、散歩中のトイプードルが私の方に寄ってきた。幸せメーターが真ん中まで回復した。
お昼ご飯に、美味しいあんかけかつ丼を食べた。幸せメーターがかなり上がって、みかん色だ。
すごく美味しかったけれど、ちょっと食べ過ぎてしまった。カロリーが気になる。幸せメーターがレモン色に変わった。
人は刻一刻と、幸せメーターが変化している。身体中の細胞が常に変化してるように、気持ちも、考えてることも、全く同じなんてありえない。私たちは色んな素敵な物に囲まれて、それらに影響されて生きている。
素敵な音楽を聴く、素敵な本を読む、素敵な映画を観る、素敵なスイーツを食べる、素敵な人に出会う、素敵なことができる、素敵な自分になる、素敵な自分を応援してくれる人が増える。
自分を素敵だと思ってくれる人に、いい影響を与えたい。素敵な人や物から影響を受けて、もっと素敵な自分に変わりたい。
私は私の仕事が好きだ。私の仕事はきっと素敵な仕事だ。素敵な物をもっと多くの人に知ってもらえるように。そして素敵な自分をもっと知ってもらえるように。幸せを日々感じながら、これからも生きていく。
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _人人人人人人人人人人人人人人_
( ´∀`)< 徒然モノクローム > フォローお願いします!! <
( ) \あのOPすごくない?。 > 応援&コメントもよろしく!!<
| | | \____  ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
(__)_)
徒然インディビデュアル 冨田秀一 @daikitimuku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます