第7話 春

私は小学校卒業を迎えた。引越し、転校様々なことがあったが、周りの環境に恵まれ、転校してよかったと思えるくらい、大好きな友達に囲まれた。私の卒業式にはママは来なかった。ママは沢山集まる所に行くのが苦手だからだ。分かっていたこと。でも涙が止まらない。せめて卒業式は来て欲しかった。ママはこの時精神的病気、"障害者"になっていたから。普段は分からないけど、私が風邪を引いてタクシーで病院に連れて行って貰った時、 ママは運転手の方に障害者カードのようなものを見せてお金を払っていた。私はその時初めて、「私のママは障害者なんだ。」ということを知った。この時のことはよく覚えている。知った時の衝撃が大きくて、部屋で1人で泣いた。私はすごく後悔した。私の行動のせいでママをここまで追い込んだのだ。

だから卒業式には来れない。私が悪いのは分かっていたけど、やはり友達に「ママ来ないの??」と聞かれた時になんて言い訳すればいいのか分からなかった。よく覚えてはいないけど「仕事」とか「外せない用事」とか無理やり言い訳して、パパだけが来てくれてた。最後の学年集合写真。私の親はパパだけ。正直その場で泣きそうだった。ママには来て欲しかった。2人にいて欲しかった。でもママにそんなこと言っても困らせるだけだから、言うのを我慢して、部屋で泣いて我慢した。

中学の入学式も同様にママは来なかった。パパは少しだけ出て、仕事に向かったと思う。

別にその時は悲しくなかった。ただ、1つだけママとパパにお願いをした。

「妹の卒業式には2人で出てあげて欲しい。」

妹にはこんな苦しい思いして欲しくない。寂しい思いして欲しくない。だから2人に頼んで入学式は来なくても私は大丈夫って事を伝えた。ママ達はそれを聞いてどう思ったか分からないけど、私はその時笑顔で言えていたと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ママ @haruki_1112

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ