乙女ゲーム
武士を攻略できる乙女ゲームとか、どうだろうか。
いや、どうだろうかじゃねぇな。なんでこの世のどこにも需要がねぇゲームを想像してしまったんだろう。まだ鳩と恋するゲームのほうがウケると思う。
……あったなぁ、鳩を落とせる乙女ゲーム。今調べたらまさかのCERO15だった。暴力項目で引っかかってたけど、何が起きるんだあの世界線。
でも暇なので、今日はこれをテーマに武士を呼んで遊ぶことにした。ぶーし。ぶぅぅぅぅし!
「なんぞ」
今からお前を乙女ゲームの攻略対象とする。
「いつにも増して何を言っておるか分からん。酔っておるのか?」
ストロングにゼロってるとも。
「困ったものだ。して、乙女げーむとは?」
文武両道に優れた益荒雄(ますらお)達が、寄ってくる女子(おなご)たちを大いなる愛で包み込み夢心地にさせるゲームです。
「ほう?」
まあ実際は逆のパターンだと思うけど。主人公の女の子に闇持ちのイケメンが救われる展開のが多いと思うけど。
「つまり、“ほすと”とやらだな?」
お前乙女ゲームは知らねぇのに、ホストは知ってんだね。
そんなわけで、今から乙女ゲー攻略対象適正テストをします。
「うむ、頼もう」
よし。では第一問。
可愛い女の子(主人公)が石に躓き、転びそうになった。さあ武士、お前はどんな対応をしてどんな言葉をかける!?
「怪我の具合を確認し、酷いようなら医師を呼ぶ」
既に転んでるねぇ! 違う違う、お前は女の子助けてうっかり抱き合わなきゃいけないの!
「だがそれだと、某は滑り込むようにして女子の懐に飛び込まねばならん」
クソッ、脳内で武士が女の子に柔道技かける直前みたいな光景が再生される!
「もっと他には無いのか」
ぐぐう……ならば第二問!
可愛い女の子(主人公)が、風邪をひいて学校を休んでしまった! さあお前ならどうする!
「自分も風邪をひいてはいないか心配になる!」
違う!!!! そこは!!!! 『お見舞いに行く』だろ!!!!
「しかし、その者から風邪をもらってしまうかもしれんではないか。自らのせいで好いた男の体調を崩してしまったとあれば、きっと心を痛めるに違いない。よってここはせいぜい文にてその者の病状を慮り、冷えピタを買っていくにとどめるのが良いと思われる」
時々我に返ったみたいにまともなんだから、お前は。
「風邪が治れば、いの一番に快方を喜ぶのも良いな」
なんか正解な気がしてきたな。
なんだよお前もー。アホなノリに付き合ってくれた割に、結構まともなこと言いやがってー。
「某も暇だったから」
暇人同士お似合いだね。はいよ、特製柚子チューハイ。
「かたじけぬぅ」
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