いたずら
ほんの出来心で、武士がいつも着ているジャージの裾を結んでみた。
それを何食わぬ顔で脱衣所に置き、自分は部屋に戻る。
武士が風呂から上がってくる。着替えている気配がする。
そして……。
「あああぁーーーーっ!!」
ドシン、と尻もちをつく音がした。
「大家殿ーーーーーーっ!!」
即バレした。
「何をするか! いたずらをするなら前もって言ってもらわんと!!」
いやそれだとイタズラの意味ねぇじゃん。
一生懸命ズボンを引っ張り上げる武士を見て、そう言った。
「ええい、小癪な! 今に見ておれよ……!」
お、どうする? どうするんだ?
ニヤニヤしていると、武士は背筋を伸ばした。
「……某は、大家殿と違うからな。前もって教えておいてやろう」
うむうむ、ありがたいありがたい。
「――夜、大家殿が厠に行こうとする折、その足の生えた布団の下からニュッと足首を掴む」
それを聞いた私は武士に土下座した。
私が悪かった。それは怖すぎるからやめてくれ。やめてください。
その後しばらく、夜起きた時に武士とベッドの下を警戒するようになった。ほんと、軽はずみに悪ふざけなんてするもんじゃないと思う。
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