オール電化
やっぱり、今家を建てるならオール電化がいいのかねぇ。
でもなぁ、そうなると停電が怖いからなぁ。太陽光パネルとか付けといたら安心なんだろうか……。
CMを見ながら、確か自分はそんな事を言っていたと思う。
すると、武士が顔を真っ青にして割り込んできたのだ。
「よせよせ大家殿! “ おーるでんか ” は良くないぞ!」
お、こんな所にアンチがいたぞ。
そういや武士はまだ車とか怖がっているヤツだったな。
オールエレキテルになったら、それこそ怯えてしまうかもしれない。
……いや、家建てるなら流石にお前は追い出すわ。
ちょっと私血迷いかけた。
私の思惑をよそに、武士はわなわなと震えながら続ける。
「思うに、それは莫大な金がかかることであろう。大家殿は一見裕福に見えるが、おーるでんかとなると甘くはござらん。そもそもだな、そこかしこにでんかを侍らすなど、恐れ多きことと思わんか……!」
……。
なんか、話がズレてる気がするな。
問い正すと、ヤツは小首を傾げて言った。
「オール殿下の話ではないのか」
なんだその恐ろしい住宅。
「ああ、勘違いしておったのか! 某たいそう驚いたぞ! ……え? 家が全部エレキテル? ……となるとあれか。階段が動いたり戸も勝手に開くようになるのか。某大歓迎だぞ?」
いやだからお前は住まないからね?
もっとも建てる予定も無いけどな!!
まあ、所詮は取らぬ狸の皮算用である。雑談のネタぐらいにしか使えない話は終わり、二人でまたテレビを見るのであった。
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