序章 各国戦艦艦名比較
前項で、戦艦というのは国の威信をかけた兵器である、ということは理解していただけただろうと思う。では、各国の海軍は国の威信をかけた決戦兵器である戦艦にどのような期待をかけてその艦名を付けていたのだろうか、ということを見ていきたい。
以下に挙げるのは第2次世界大戦期における著名な戦艦である。艦級の後ろに括弧で艦名の由来を記しておく。
日本:大和(旧国名)、長門(旧国名)、伊勢(旧国名)、扶桑(旧国名)、金剛(山岳名)
アメリカ:アイオワ(州名)、サウスダコタ(州名)、ノースカロライナ(州名)
コロラド(州名)
イギリス:キングジョージ5世(王族)、ネルソン(海軍提督)、ラミリーズ(古戦場)
クイーン・エリザベス(王族)、フッド(海軍提督)、ウォースパイト(単語)
フランス:リシュリュー(政治家)、ダンケルク(都市名)、プロヴァンス(地方名)
イタリア:イタリア(国名)、ヴィットリオ・ヴェネト(古戦場)、ローマ(都市名)
カイオ・ドゥイリオ(古代ローマ軍人)
ドイツ:ビスマルク(宰相)、シャルンホルスト(陸軍将軍)、ドイッチュラント(国名)
ロシア:インペラトリッツァ・エカテリーナ2世(王族)、ガングート(古戦場)
見てわかるように、いずれの国も国名や国内の著名な地方、王族・軍人といったものの名前を付けている例が多いことが見て取れる。いずれも、大きな意味を持つ名前であるのはお分かりいただけることだろうと思う。いずれの国も戦艦に対して大きな期待を抱いていたことを理解していただいたところで、次からは国ごとの戦艦の艦名の傾向についてみていきたい。
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