昔話風の語り口調が独特で面白いです。物語は純愛。かまいたちの道理と愛情表現は人間のそれとは違いますが、それでも通じ合う男女の関係が切ないです。
残虐な殺しを好み、人間を喰らう恐ろしいかまいたち。ある日、盲目で口がきけない美しい娘に出会い……。普通の人間ならば容赦なく殺せるけれど、障害をもつ弱い立場の人間を殺すのは恥だと考えるかまいたちが、狂気の中にも確固たる矜持が存在していたのだという設定がとても良かったです。彼女のためなら自身の破滅をも厭わない、そんなツンデレ。(言葉が軽くて申し訳ありません)盲目の自分に優しくしてくれるかまいたちを待つ娘。最後は心が温まり、読後感が最高でした。
本当に好きになったら。自分を犠牲にしてでも好きな子の笑顔を守るのではないか。もう会うことができなくても、あの子が楽しく暮らせていればいいと。昔話。妖怪のお話。でも物語の中心にあるのは純愛!死にたくはないんだけど・・・最後まで貫いてみましょうか。
短編です。その妖怪は死ぬことは無かった、人間を食べ続けていれば。もしその仮定が崩れることがあるのなら、一体そこには何があったのか。是非その結末を見届けて頂きたい。