第6話 夕暮ナイト檸檬味
夕暮のナイトと爆弾味
中から俺を爆発させる
ハチミツ漬けに雑誌、アイス、紅茶やお酒。あと爆弾。爆弾味のアイスがやけに酸っぱい。俺の体が刺激物を拒否する。今まで大丈夫だったのに弱ってるのかな。
夕紅に染まる噴水がキラキラと眩しい。小さなじゃぶじゃぶ噴水は終了した。肌寒く親子も少ない。俺は夕暮にギターを弾くのが好きだ。みんなと一緒だったが、もうしばらくここに一人だ。
夏の終わり、あっという間に夜になる。俺はそれがひどくこわい。それなのにあの日はまるで違った。
五時の鐘を弾いたらなぜか女の人に会釈された。警戒されたのかな。きっと俺は不審者になれてもナイトにはなれない。いつもはバイトに行くが、そのあと公園に残っていた。夜になる街並みをぼーっと見ていた。
ふと見上げた空がまあきれい。
夜は暗くただ過ぎていくもの。眩しい夕日に目を細めてばかりいた。だから夜が視界いっぱいに広く、どこか冷たく、星と月がキラキラしているのを知らなかった。
完全な丸でなく
月は檸檬型らしい
あんなにまんまるに見えるのに
こんなに心を奪うのに
あいつは檸檬だったのか
こうして見えているのはごく一部
氷山の一角
こうして過ごす時間もごく一瞬
ひとりでも大丈夫
ひとりじゃない
ひとりにさせない
ひとりになれない
ここから見える景色は
時の流れで少しずつ
変わっていく
みんな大丈夫
大切な誰かも
誰でもないみんなも
時にしょっぱくて
すっぱいけれど
月が回ってくるのを
待ちましょう
夕紅とレモン味 新吉 @bottiti
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