67 30歳男、初めて官能小説を買う。で、読む。
お久しぶりです。
郷倉四季改め、さとくらと名乗っているものです。
その辺は理由があるのですが、エッセイを続けていく中で書けたらと思っています。とはいえ、読んでいただく上では関係のないことですので、引き続きエッセイをよろしくお願い致します。
当初、このエッセイでは「村上春樹と僕」みたいな裏テーマを持って書いていました。
これは江藤淳の「文学と私・戦後と私」みたいに自分と大きなものを比較することで見えてくるものを書いてみよう、という狙いでした。
村上春樹は間違いなく日本文学の歴史に名が残る作家ですし、僕の人生にも多大な影響を与えていて、本当に大きすぎる存在です。
エッセイを半年間、休止していた理由は小説を書く半年間が欲しいといつからか思うようになったからでした。
僕はエッセイと小説を両立することができなかったんです。
そんな訳で、この半年はどんなに頭を抱えても逃げずに小説について考えていました。その結果、僕はちゃんと性描写のある小説を書こうと言う結論に至んです。
この辺は折に触れてエッセイの中で書いていきたいと思うのですが、ざっくり言えば僕は30代の間に村上春樹の「ノルウェイの森」みたいな小説を書くと目標を定めたんです。
ちなみに村上春樹が「ノルウェイの森」を発表したのは、1987年で彼が38歳の頃でした。
あと、まぁ普通にこれは愚痴ですが、「女による女のためのR-18文学賞」という女性が性に関して書く小説を募集している場があって、更に文學界では「私の身体を生きる」というリレーエッセイでセクシャルな内容を女性作家が書いていたりする。
なのに、男性作家が自分のセクシャルな内容や肉体的なものを書くって、あんまり見かけないなぁというのがありました。
芥川賞を取った遠野遥は、そういう部分がありそうだなとは思いつつ、まだ読めていなくて。
小説家以外で、杉田俊介とか清田隆之辺りが男性の弱さとか、男らしさの見直しは行っている印象はあります。
けれど、「女による女のためのR-18文学賞」とか「私の身体を生きる」のまとまった感じはない。
男の子も自分の性とか考えるべきなのでは? というより、そういう性の参考になる作家はいるべきなのでは?
とか、ちょっと考えたりします。
AV男優のしみけんセックス集中講義とか、そういう技術論ではなくて、もっと根本的なものはないのかな、と。
なんてことを考えていたのもあって、この半年ひとまず性描写のある小説を書こうと思っていたんです。
もっと明け透けに書いてしまえば、官能小説を僕は書こうとしていました。僕はそういうのを書けるのかな?という純粋な興味もありました。
当初、僕の手元にあったのは「官能小説 用語 表現 辞典」と藍川京の「女流官能小説の書き方」のみでした。
うーむ、足りなくね?と思って、ちゃんと官能小説を買うべきだなと本屋へ赴きました。
そこでふと気づいたんですが、僕ってエロ本を買ったことないんですよね(官能小説がエロ本かは議論の余地がありますが)。ついでに言えば、レンタルビデオ屋のAVコーナーにもほとんど行ったことないんですよ。
それこそ倉木さとしがすっごく昔、レンタルビデオ屋で働いていて、彼の地元に遊びに行った時に案内された際に、AVコーナーの設置の仕方を解説してくれたのが、ほぼ初めてまともに見て回ったレベルです。
そんな訳で変に恥ずかしくなってしまって、官能小説を買う際に別の雑誌と一緒に買うという、ガチで中学生みたいなことを30歳になってした訳です。
なんか、書いててすげぇ恥ずかしい。
とはいえ、手元に来てしまえば、恥ずかしいも何もありません。読んで頭に叩き込んでいくだけです。
まず、性描写で使えそうな部分には線を引いていく作業をしていったんですが、内容面でちょっと面白いなと思う部分がありました。
一冊目の読み味はライトノベルなのに性描写になった途端、巧みになって上手っ!ってなる作品で、二冊目は読み味は普通の一般エンタメなのに性描写というか、喘ぎ声がギャグ小説にしか読めなかったんです。
なんて言うんでしょう?官能小説家の得意不得意がはっきりしてんな!ってなって面白かったんですよね。
タイトルは言いませんが、どちらも今年か去年に出版されている作品でした。
官能小説って面白いとなった僕は、「小説現代2021.7」の特集が『NEO官能小説特集「性と生のあわいに」』だったので、これも購入してみました。
印象として女性作家が多くて、笑っちゃうような喘ぎ声はありませんでした(残念)。
内容としては、歳の差や官能小説作家の仕事としての性だったり、AV男優のあれこれだったりで、NEO官能小説って銘打つように性行為に対し、俯瞰した新しい視点を入れてみようとする印象が強かったです。
個人的にNEO官能小説で浮かぶのは、漫画ですが志村貴子の「どうにかなる日々 ピンク」で描かれた「連れこみ宿」に住む男(田辺)の部屋に連れこまれた女(ヨリコさん)の話でした。
連れこみ宿、今で言うラブホテルみたいな場所で、過去どれだけの人がここでセックスしたんだろ、って想像するヨリコさんは知的で、文学的な印象を持たされるんですよね。
セックスって百年前でも、やることはあんまり変わらない訳で、NEO官能小説って特集なら、あえて性に関する歴史を紐解いて新しいものを描くって形をやっても良かったんじゃないかな、と思う。
って書くと僕がやるか、とか考え始めて過去の性事情に詳しくなる可能性はゼロではないんですよね。
その場合は、またエッセイに書こうと思います。誰が読みたいかは分からないですが。
ちなみに、今僕は大塚英志を読み直したりしているので、80年代のエロ漫画事情に関してはちょっと詳しくなっている節があります。
などと書いていると、字数が結構いった感じがあるので締めに入りたいと思います。
男性、女性によって性に向き合う度合がまずもって違うんだなぁ、というのを官能小説を書こうとして行く中で気づいたことでした。
本当は小学生の時に初めてラブレターを貰った話を書こうとしてたんだけど。
それは来週……、あ、でも、エロ漫画の話も出たし、来週は販売で働いていた頃の後輩が「俺、エロ漫画家になりたいんっすよ!」って突然言い出した話にしようかな。
何にしても、また来週。
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