塵には気付けるが梁が見えていない
●なぜ、兄弟の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁を認めないのか。
自分の目には
偽善者よ、まず自分の目から梁を取りのけるがよい。そうすれば、はっきり見えるようになって、兄弟の目からちりを取りのけることができるだろう。
【マタイによる福音書 7章3~5節】
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お昼ごはんを、たまたまTVをつけて食べていたらNHKの国会中継が流れていた。
見たかったのではなく、つけたらたまたまそのチャンネルだっただけのことで、配膳やらお茶入れたりをしている間そのままだったため、岸田首相の答弁が耳に聴こえてきた。内容はゼンゼン頭に入って来なかったが、ただ一カ所首相の言葉の使い方で気になったところがあった。
〇「……なのですが、あ、失礼。正しくは……ですが……」
具体的にどういう言葉を言い間違えたのか覚えていないが、とにかく首相は何かの言葉をうっかり言い間違えて、それに気づき正しく言い直したことは確かである。
言い直す際に、「失礼」という言葉を使用している。つまり、岸田首相は「言葉の言い間違えをすることは失礼にあたる、と少なくとも認識している」証拠である。
●言葉の言い間違い程度の小さなことは「失礼」と分かるくせに、もっと大きな失礼(国民の声を聞かず力と声の大きい人の声を聞く政治、最初「成長と分配」と言っていたくせにそんな言葉を言ったことを忘れるくらい日本経済を守らない、声を聞くどころか「もう決めたから」と決定だけ国民に事後報告の失礼さとか)は分かっていない。もしくは、分かっていて意図的に素知らぬ振りをしているか。
後者の方がもっと始末が悪いが。
最初に、イエス・キリストの聖書の言葉を紹介した。
自分の目にある梁とは、ログハウスなどで上を見上げると、建物を支えるために横に渡された長い木材があるが、あれである。目にそれがあるとはちと大げさというか極端な表現だが、イエスは好んで大げさなたとえ話をしたようである。
どう考えてもそっちの問題のほうが大きいのに、それを抱えた人が「あなたの目に
冒頭のイエスの言葉の趣旨は、「木を見て森を見ない」ことの指摘である。
些末なことはちゃんと問題と分かるくせに、もっと大きな問題に関して見えていない。あるいは、見えていないふりをすることで優位に物事を運ぼうとしているのか。
岸田首相は、私は一生かかっても稼げないお金と、私が一生頑張っても行けない地位をお持ちだろう。でも、私は彼がうらやましいかというと、絶対に彼のようになりたくない。イエスがなぜあえて「目の塵と梁」のたとえ話をしたのかというと、「そういう人間になるなよ」というメッセージとしてである。
もちろん、その人の人生はその人のものであり、いかような選択をしてもその人の責任においてまったくの自由である。誤解のないように言うと、岸田首相の命も筆者の命も同価値で、どちらがどうということ(質の優劣)は絶対にない。
ただ、この世界は一定のルールに則ったゲームでもあり、そこに参加するからには勝利条件、クリア条件(こうできたら十分にゲームを楽しんだと言えるよ)という比較上の勝ち負けがある。成功と失敗という幻想がある。幻想ではあるが、その幻想を現実として生きる我々には普通に大事である。
魂の旅という枠内では、地位や財産の多寡は関係ない。あるのは、どこまで自分を飾らずに(誤魔化さずに)生きられるかである。
●些末より、より大きなものを見えるような人間になること。細事にこだわって大局を見失うことのない人間になること。
そうなれてこそ、人生を大いに満喫できるというものである。そうでないと、小さいことばかり気にしてイライラする、落ち着かない人生になる。
筆者は、のらりくらりと中身のない答弁を何時間も国会で言うあの人たちは、本当に心からの充実感と「自分は誰かの幸せの役に立てている」という幸福感があるのだろうかと疑問に思う。カネは稼ぐから自分や自分の家族あたりは不自由させず幸せにしているかもしれないが、そこだけだ。あんな仕事ぶりで、本当に日本が良くなるのだろうか。
言葉の言い間違いを「あ、失礼」と言えるなら、自分がもっと大きな失礼(ミステイク)を犯していないか、考えてみないのだろうか。
まぁ、逆に「細かいことが分からない」のも程度によっては迷惑なことにはなるが! でもやっぱり実害の大きいのは「より根幹の本質をつかんでいない」ことのほうだろう。
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