Q&Aのコーナー「矛盾する話には価値がない?」
Q.
筆者さんの話を毎回聞いて、その度に「ふんふん、なるほど」と思うのですが、落ち着いていくつかの話を同時に思い出すと「あれっ、これ全部同時に成り立つのかな?」と疑問に思うことが出てきます。そのあたりのことを、どう説明されますか?
A.
なんで説明しなきゃならんのですか?
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じゃあ、イエス・キリストとかなんで突っ込まれないんですかね。彼は神と同格のように扱われ、世界で最も大勢に崇められている人間なんですが、聖書でその言葉をピックアップすれば矛盾することたくさん言ってますよ? 人類史上最も高い精神性をもつと釈迦と並び称せられる人ですよ?
その一例を挙げてみよう。
①性に関して世の男性に厳しいことを言うイエス(女性を情欲で見ること自体目をえぐって捨ててもいいほどの罪だ)、だがある時は姦淫(売春?)の現場でつかまった女に対してかばい、私はあなたを罪ありとしない、安心して帰りなさいとやさしく神対応するイエス
②私はこの世に光として来た。平和をもたらすために来たと言うイエス。別の個所では、私はこの世に剣を投げ込むために来た、親兄弟をそれぞれ仲たがいさせるために来たと言うイエス
③イエスに協力しないくせに、イエスの名を利用して悪霊退治をしている祈祷師を「目的は同じだから、いいことじゃないか」と認めるイエス、しかしある場面では「私と一緒に集めない者は、散らしている」と言う、つまり協力しないことに対して決して良いとは思っていないであろうイエス
④バプテスマのヨハネにあなたは本当のメシアなのですか、と疑いの問いをかけられて「目の見えない者は見えるようになり、死人は生き返っている。私につまづかない者は幸いである」と見て信じることをすすめているのに、十字架のあと復活し弟子たちの前に現れたイエスは、」最初疑っていたが実際に見て信じたトマスに「見たから信じるのか。見ないで信じる者はさいわいである」と言っている。
⑤枯れたいちじくの木に「お前には今後実がならないように」とイエスが言うとたちどころに枯れた。驚く弟子たちに「心からそうなると信じて疑わなければそのようになる。山ですら動かせる」と言い、別の場面では「子(イエス)は父(神)のすることを見て従う以外自分からは何もできない」という趣旨の発言をしている。神の御心に沿うこと以外はなんもできない、と。そのくせ十字架上で苦しい時は「神様、なぜ私をお見捨てになったのですか」と言う。それも、神様の指示なのだろうか?
……挙げればまだまだあるだろうが、今日はこのへんにしといたるわ!(池乃めだか調で)
実は、今回の記事はなんら目新しい話ではなく、過去に何度か触れている内容である。古くからの読者様は、ああまたかと思わず復習の意味もかねて、忍耐して読んでいただきたい。
皆さんがスター視するイエスも釈迦も、その言動のすべてを同じテーブルに挙げるとそれぞれ矛盾が生じる。だが、それは次の言葉のゆえに問題視されない。
【対機説法】
仏教では、相手の能力や状況などに応じて教えを説きます。これを「対機説法」と呼びます。たとえば、怠けがちな人には「もっと頑張ったらどうですか」と問いかける一方、頑張りすぎる人には「もう少し力を抜いてもいいですよ」と伝えるのです。
そのため、釈迦の教えを記録した経典などでは、互いに矛盾する点が多々見つかります。釈迦は相手に合わせて説法を変えるからです。そして、それが議論に発展したり、解釈にずれが生じて宗派が分かれたりしたことも珍しくありません。
ただ、それで構わないのです。仏教が目指すのは「悟り」という境地。そこに到達できれば、どんな言葉を使っても、どんな道筋をたどってもよいというのが仏教の考え方です。(出典:リクルートワークス研究所・浄土真宗本願寺派僧侶、藤岡善信氏への取材記事より)
筆者の言っていることも、これと同じなのである。
要するに、先入観ですな。イエスや釈迦は有名すぎて伝説すぎて、誰も悪く思う者がいない。正しい、素晴らしいという意識の色眼鏡があるので、そもそも批判の俎上に上らないんですな。彼らは正しい、とう前提が出来上がっていいる。
でも、このどこの馬の骨かも分からない「賢者テラ」なるいけすかないオッサンは、残念ながら世に認められていない。だからイエスに対して好意的なように私にはできない。私が対機説法をしているのだな、と親切に考えてはくれない。
落ち着いて読めば私の言ってるのが対機説法なんだということは分かっていただけるはずなんだが、私に権威がないばかりに矛盾点に目を行かせてしまってゴメンナチャイ。
イエスは批判されないのに私は批判される。言っているのは同じような話なのに! 結局人間の最大の欠点は、先入観や好き嫌いの感情というものが冷静な判断を狂わせることだということが改めて分かる今回の質問なのでした。チャンチャン!
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