障がいは、本人のせい? 親か先祖のせい? どうでもよろしい!


 さて、イエスは通りすがりに、生まれつき目の見えない人を見かけられた。

 弟子たちがイエスに尋ねた。

「ラビ (先生)、この人が生まれつき目が見えないのは、だれが罪を犯したからですか。本人ですか。それとも、両親ですか。」

 イエスはお答えになった。

「本人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからでもない。神の業がこの人に現れるためである。」



 ヨハネによる福音書 9章1~3節



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 私がスピリチュアル・メッセンジャーとして公に活動を始めてから、それまでとは比べ物にならないほど大勢の人と関わるようになった。その中で、人から聞かれる回数が格段に増えた質問がある。



「筆者さん。足……悪いんですか?」



 そうなのだ。

 私は生まれ出てくる時に、股関節脱臼で出てきた。

 この症状は後天的なものが多く、生まれてくる時にそうなっているのはまれらしいが、私はそのレアケースらしい。

 右足と左足の長さが違うので、片側に体重がかかった、ちょっと引きずるような歩き方になる。それを見て、心配してくれる人の数が増えた。

 私は仕方がないから、人生で何度説明したかもう数え切れないが、ちゃんと伝える。私には何度目だろうと、相手は初めて聞くんだもんね。そこは、認識しておかないと。それが、礼を尽くすということだろう。



 で、この問題を考えた時に連想されるのが、『前世』という問題である。

 因果、という概念にも結び付けられる。

 ワンネスから分離した幻想上の別個の魂たちは、それぞれ有限乗り物キャラで遊びだした。ワンプレイで満足するはずもなく、車を乗り換えるように何度もコンティニュープレイを続ける。そして、今そのアンカー的立場にいるのが「今を生きる」 私たちだというわけだ。

 今を走るランナーである我々には、駅伝のごとく前の区の走者の実績が影響している。それまでの走者が良いタイムなら、かなりアドバンテージがある。遅ければ、やはりあなたはそれなりのハンデを受ける。

 その出発する時点の状況に関して、あなた自身(キャラとしての)には、何の責任もない。あなたに関わってくるのは、生れ落ちてのちのあなたの言行録である。



 古来から、そういう考え方はある。

 今生きている人間に生まれつき障害があったり、ひどい運命に見舞われたりしたら、それはまったくその人のせいというよりは、先祖のした悪いことのせい。しかも、それを清算せずして亡くなった。貸した金は、きっちり回収する! (まるで闇金ウシジマくんみたいだ)

 宇宙は、その借金を見逃さない。だから、その子孫に支払い義務を負わす。

 そのように昔の人は、先祖からの因縁という形で考えた。

 その痕跡は、聖書にも発見することができる。

 上記に紹介した聖書箇所が、そうである。



 当時、これが普通の発想だったのではないだろうか。

 だからイエスの弟子たちも、その発想で聞いたのである。

 ここは、訳がよくない。

 弟子たちは、イエスに質問などしていない。確認しているのである。


 

 先生。この人が生まれつき足が悪いのは、(当然)親か先祖か本人か、誰かがこうなっても文句の言えないことをしたからですよね?



 イエスの判断を仰いでいるというのではなく、ほとんど決めつけてるのだ。

 まさか、違うなんて答えないだろうという大前提のもと、形式的にだけ質問の体裁を取っている。でも、師であるイエスは、そのまさかの返答をした。


 

●(本人・先祖や親の)因果だなんて考えなさんな。



 ええーっ!?

 今でも画期的な発想なのに、二千年前当時では破壊的だったはずだ。

 では、聖書に書かれてあるイエスの言葉を見てみよう。



 イエスはお答えになった。

 本人が罪を犯したからでも、両親が罪を犯したからでもない。

 神の業がこの人に現れるためである。



 ヨハネによる福音書 9章3節



『神の業』という言葉が、ちょっとキリスト教っぽくてイエスの言葉らしくない。(笑)本当のところどう表現したのか、今となっては分かりようもない。

 でも、この言葉の大事なエッセンスは、汲み取れる。



●大事なのは、今生きようとすることだよ。

 スタートラインに立った時の立ち位置や損得に関して「なぜ?」を問うても何もならないよ。なんでこういう人生なのかよく分からんけど、否定のしようもないし逃げようもないし……まぁこの状況でやれることをやってみるか。

 四の五の言わず、「Why」ではなく「How」を問うてみるか——。



 そう発想することを薦めているのである。

 因果ではない、というところが重要なのではない。

 たとえ因果があったとしても、クヨクヨ考えてもしょうがないでしょ? だったら、もっと楽しいこと考えて思いっきり今を楽しもうや、というススメなのだ。



 そうして生きて、もし死ぬ時に「あんた、自分の好き勝手に遊んできたせいで、借金全然返ってないよ? これからも、追及させてもらうよ」 と言ってきたとしても、そんな「借金取り」にはこう言ってやればよい。



●おう、上等じゃないか! でもワリいが、いつまででも好きにさせてもらうぜ!

 時間は有り余るほど(ってか、永遠に)あるんだ!



 カルマ借金取りには、その塩対応でいいと思う。

 皮肉な話だが、問題意識をもってカルマにガチで取り組むよりも、結果論的に私の言うようにしているほうが、解決につながりやすい。

 大事なことなので二度言うが、イエスは因果ではないと言葉上は言ったが、因果を完全否定まではしていない。

 百歩譲って因果だったとして、その事実理解が何かの助けになるのか?

 ならないんなら、もっと楽しいことを考えたほうがいいんじゃない?

 どうしても何か理由付けが欲しいのなら、「神様の、人智を超えた粋なお計らい」 ってくらいのことにしておけばいいんでねぇの? イエスはそう言ったのだ。



 私は、決まった真理はない、という超自由の立場を取っている。

 その立場からは、カルマや因果がないとか、前世はないとか(思っていても)言えない。だって、それを大事にするワールドもまた、大事だから。

 だから、こう言おう。

 カルマとか因果とか、前世でどうだったとか今生の使命とか、そりゃあるのかもしれないが——

 そんなことばかり考えていては、それにエネルギーを割いていては、勿体なくないかい? 考えたところでどうしようもない(知的自己満足でしかない)ことを考えるより、頭を真白にして今を生きてみないかい?

 とりとめのない考え事をしながら見る景色と、その瞬間を全力で見る(そのことだけに注力して)景色とでは、同じ景色でも見え方が違うぞい。見慣れた景色でも、結構発見や感動があるかもよ?



 私はいつしか、自分の足の悪いことを意識しなくなった。

 それはただのデータ的情報にすぎず、そこに引っ付く思いのエネルギーはそぎ落とされた。

 もちろん、気にしないでおこう、克服しようとしてできたのではない。他の楽しいこと、情熱を懸けられるものを追っている内に、自然と気にならなくなった。

「感謝」や「ゆるし」と同じで、意思による努力でもたらされるものではない。



●自分のキャラ設定やゲーム背景に関して文句を言わなくなれるのは——

 ゲームにのめりこんだ時である。

 あーだこーだ言えるのは、ゲームにのめり込んでいないからだ。

 余裕があるので、文句が色々考えられる。



 ゲームをクリアするのにおすすめな在り方は、あなたがあなた自身の人生ゲームにのめり込むことである。

 なんでこのゲームソフトなのか、何でこんなジャンルのゲームなのか、選んだのはあなただがその記憶は封印してやってきているので、考えてもしょうがない。

 我々にできることは、もう否定しようのないこの状況を引き受け、ドラマを紡ぎ続けることである。文句を言っても一文の得にもならず、ましてや前世とか過去の透視とかいろんなものを持ち出して来て、例え今あなたがそんな目に遭っている原因が分かったとしても、知ってどうする?

 どうしたいかではなく、過去を知ったから今 それに基づいて「どうするべきか」 を選ぶ気か? あなたが心からそうしたくて、過去のデータをもとに今取る行動を決めているのならいい。ただ、心では別のことをしたいのに、過去がこうだから「そうすべき」では感心できない。

 


 生前のことと死後のこと——

 趣味程度には考えてもいいが、真剣になりすぎるの、やめない?

 そんなこと知らなくても、あなたが生きて触れているその範囲のなかに、問題解決のヒントは全部ある。道は、常に用意されている。

 あなたが必死になって探し回らないと与えられないというような、ここはそんなお粗末な世界ではない。いつ何時でも、必要なものはすべて目の前にあると思いなさい。あとは、それに気付くだけだと思いなさい。

 私は、足の不自由を医学的に治したわけでも何でもない。

 問題を、直接何とかしたわけではない。

 でも、すべての解決は目の前にあると分かった時から——

 私の中では、もうその問題は『終わった』のである。

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