イエスの系図① ~やらかしちゃったマタイさん~
アブラハムの子ダビデの子、イエス・キリストの系図。
マタイによる福音書/ 01章 01節
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新約聖書の一番最初の、マタイによる福音書には、冒頭に長~いイエス・キリストの系図が載っている。いくら聖書のすべてが神の言葉、ったって、有難がって無理して読むのはよしたほうがいい。聖書研究が仕事や趣味ならまだしも、あんなものダラダラ読むくらいなら、他のことに時間を使ったほうがマシである。
皆さん。人はいつか死ぬのです。時間は、限られているのですぞ!
イエスの系図に、話を戻そう。
誰それの子は誰それ、ってな感じで、大昔の由緒ある家柄から、イエスが誕生しているよと言いたいのだ。昔は、「血筋」ということが今よりもっと重んじられていた。イエスが救い主だ、と皆に受け入れてもらうのに、どこの馬の骨かも分からないような人物では、不十分だったのだ。
現代の人には分からない感覚だろうが、その人がいかにすごくても、皆まず身分や生まれを気にしたのだ。イエスもまた、救世主なんていうそれだけですごいのに、人々は救世主だと聞いてさえ「その人、どこの出身?」なんて気にするのだ。
だから、マタイの福音書を書いた作者は、わざわざ最初に系図を載せることで、イエスの家柄の立派なことをアピールしたわけだ。皆さん、安心して信じてくださいよ。イエス様は、ダビデ王の血を引く、高貴な血筋にあらせられます——。
でも、マタイは大チョンボをやった。
イエス様を愛するあまり、イエス様のすごさをアピールしたいあまり、「重大な矛盾」を生んでしまったことに、気が付かなかった。
それは——
●処女懐胎で生まれちゃったら、血筋関係ないじゃん!
イエスは、聖書によるとエッチなしで生まれたそうな。(ウソである)
だったら、血は関係ないよね。
イエスの誕生に彼の子種がからんでないなら、ここにヨセフの系図を載せて威張る意味がゼンゼンないのである!
でも、そんなこと言っちゃいけないのである。
聖書は、完璧な神の言葉、なのだそうであるから。
そういう前提でしかモノを考えてこなかったので、誰もここを突っ込まなかった。
「王様、裸だよ!」 と言える者がいなかった。
だから、処女懐胎を強調するなら、無意味な系図はあえて載せないとか。
逆に系図を載せるなら、処女懐胎路線は封印して、ちゃんとダビデ王の血を受け継いでいることに(つまり、身分は高貴だが普通に両親から生まれた人)するとか。
そういう冷静な工夫が要ったのではないか。
でも、過度な情熱は冷静さを欠く。自分がどんな大失敗をしているか、気付けない。マタイさんは、こんなツッコミどころのある文章を、死後二千年以上も人前にさらされ続けたのだ。
さらに笑えることに、ものすごい数の人間がこれまで聖書に触れてきたのに、バカにしたり批判したりするのがタブーな書物なので、誰も表立って指摘したりしてこなかった。
ただただ、「信ぜよ」「聖書は完璧な神の言葉」として、こういった矛盾をスルーしてきたのだ。
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