嗚呼、世界。

西野 セト

 

 空を偲べば、あれはいつも晴れていて、薄らと白く透き通っている。

 

 雲なんかが浮かべば夏を描き、灰に曇れば冬を想う。

 

 桃の小風は春をもたらし、緑が翳ると秋に落ち着く。

 

 一周回れば一年で、八十回れば人の生。


 回ることなく鼓動は下火になり、未練も四季も寂滅へと向かう。

 

 私達は途方も無い過去から引かれてきた線をほんの少しだけ歩み、そしてその後の線に私達はいない。

 

 それが美しいというのなら、この世界は酷くセンスに欠けていて、きっと私もまた、滑稽なまでにセンスに欠けているのだ。

 

 嗚呼、セカイ。

 

 貴方はどこまでも残酷だ。

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嗚呼、世界。 西野 セト @seto_nishino

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