第十二章十三節 突入
『奴らは本拠地内に立てこもるつもりだ!
嵐のような光弾を前に、アレス達突入部隊は攻めあぐねていた。
元々
その様子を見ていたシュランメルトが、一計を案じた。
「アレス。
「何をするつもりですか?」
「突破口を開く」
シュランメルトが言い終えるよりも早く、
意図を察したアレスは、即座に命令した。
『全機、退避!
アレスの命令を聞いた味方の
『今です!』
「承知した!」
合図を受け、シュランメルトは
大剣の切っ先から、極大の
本拠地入り口に吸い込まれるように放たれた
「光弾が止んだはずだ。行け!」
『かしこまりました! 全機、突入せよ!』
『了解!!』
後続に控えていた“ヴォルフホイル”の
一瞬で、30台はいた
アレスの部隊はその後すぐに、中枢区画の手前までを占拠した。
奥行きだけでも1kmは軽く上回る拠点であったが、その半ばよりも先に、あっさりと進んでいたのだ。
作戦会議での想定以上に本拠地へ乗り込んだ者が多くなったが、不利益が無いために疑惑は黙殺された。そもそもは
「やはり敵は犯罪組織に過ぎなかったな!」
勢いに乗って浮かれた味方の兵の一人が、勝利を確信して言い放つ。
だが、シュランメルトは先ほどよりも強い違和感を覚えていた。
(やはりこの戦いはおかしい……。いや、戦いですらない! 王城の蔵書によれば、アルフレイド・リッテ・ゴットゼーゲンは英雄と呼ばれるだけの、卓越した指揮を誇っていたはずだ。まさか、罠か……?)
その時、轟音が響いた。
「何だ!?」
兵の何人かがうろたえる。
が、近場で何かが破壊された形跡は無い。ましてや本拠地が崩れるなどといった気配は皆無であった。
しかしシュランメルトをはじめとした何人かは、場の変化を感じ取っていた。
「あの坑道……。先ほどまでは、無かったはずだが?」
中には何もなく、ただ暗闇と、いくつかのランプが点在するだけであった。
「どうしたのですか、シュランメルト?」
シャインハイルの駆る
「これを見てくれ。先ほどの轟音の後に、坑道が出来た」
「あら……。それにしては、整い過ぎておりますわね」
「“整い過ぎている”?」
「ええ。恐らくですが、
シャインハイルが、構造から推測を述べる。
「幅も
「ならば
「では、2番目は
「お待ちください、シャインハイル殿下」
割って入ったのは、リラである。
「2番目は、罠に引っかかる可能性のある配置です。ある程度知略に長けた者は、『仕掛けた罠を敵が通り過ぎる時、一人目は何もせず通過させ、二人目で罠を作動させる』事を好みます」
「なるほど……かしこまりました。では、
「前から3番目が適切かと。それに、この坑道を通る時は、“前後で最低25mは距離を開けておく”としましょう。罠……例えば落とし穴などの一網打尽は、少なくとも避けられるかと」
「承知した。態勢を整え次第、坑道に突入する。
「わたくしがおります」
「フィーレ姫のお側に」
「僕もいるよー!」
集まったのはフィーレ、シュナイゼル、そしてグスタフである。
都合6人が、突入する運びとなった。
集合を確かめたシュランメルトが拡声機を起動し、アレスに問いかける。
「アレス、本拠地の制圧状況はどうだ!?」
『全て制圧完了しております!』
「承知した!
ここからは本来の作戦通りである。
シュランメルト達は“25mの距離”の話を全員で共有したのち、坑道へと足を踏み入れたのであった。
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