第四章四節 弟子

「寂しいなあ、フィーレ姫……。もう、何度目なんだろう……」


 一人入浴しているグスタフは、ぽつりと呟いた。


「大好きなししょーはいるけれど、それでもやっぱり、フィーレ姫も大好きだよぉ……。うぅ、また一緒に特訓したいよぉ」


 天井を眺めながら、グスタフは涙をぽろぽろ流し、寂しそうな様子をあらわにしていた。


 やがて入浴を終えた彼は、パジャマ姿になるや否や歯を磨き、脱衣所を後にする。

 と、廊下でリラとすれ違った。


「あら、グスタフ。上がったのですね」

「ししょー……」

「グスタフ? どうしたのですか?」


 目を潤ませ、リラの顔をじっと見るグスタフ。

 と、次の瞬間、リラに抱きついた。


「さみしいよー、ししょー! うわーん!」

「あらあら……。けれど、その気持ちは私も一緒ですよ。グスタフ」


 リラはグスタフの頭を撫でながら、優しくささやいた。


「グスタフ。貴方が嫌でなければ、私と同じベッドで眠りますか?」

「……いいの?」


 いまだ涙が溜まっている真っ赤にした目でリラを見たグスタフは、涙声で確認をする。


「良いのですよ、グスタフ。可愛い可愛い弟子なのですから」

「やった……。えへへ、ありがと、ししょー」

「では行きますよ、グスタフ」

「うんっ!」


 グスタフはリラに腕を優しく引っ張られながら、リラの寝室へと向かったのであった。

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