第二章九節 叱咤
その夜。
「ねえ、フィーレ姫」
「何でしょう、グスタフ?」
「どうして、ししょーとお兄さんがいないのかな?」
「……さあ?」
ダイニングでは、フィーレとグスタフだけが食事を取っていた。
---
グスタフが話題にした二人、シュランメルトとリラは、二人揃ってシュランメルトの部屋にいた。
「さて、シュランメルト。お話があります」
腕を組んだリラが、じっとシュランメルトを見据える。
「本日の模擬戦闘に関するお話です。どのような内容か、心当たりはありますか?」
「さあ、まったくわからないな」
その返答を聞いた途端、リラはゆっくりと息を吐く。
そして、シュランメルトに告げた。
「
シュランメルト、貴方は“やり過ぎ”です」
「“やり過ぎ”だと?」
想像の外にある言葉に、シュランメルトは首をかしげる。
リラはシュランメルトの反応を気にせずに続けた。
「ええ、やり過ぎです。いくら
「……」
シュランメルトの沈黙を確かめたリラは、あくまでも冷静に答えた。
「私達人間が魔力を込めて、あるいは物理的に繋げなおして、修復するのです。当然、自然再生よりもはるかに手間がかかります。ましてや
ここまでの言葉で、だいたいの意味を察したシュランメルトがうつむく。
それでも、リラは言葉を止めなかった。
「ですので、貴方に罰を与えましょう」
「……何なりと、言ってくれ」
罰――それだけの事をした。
シュランメルトは全く理解出来ないながらに、それを察したのだ。
「明日、フィーレ姫をお迎えする使者達がいらっしゃいます。ですが、貴方は腕とはいえ、姫の
リラはまず前提を述べてから、本題に入った。
「ですので、シュランメルト。貴方に、
「もちろんだ」
シュランメルトはあっさりと、リラの罰を受け入れた。
「ありがとうございます。では、夕食にしましょうか」
「わかった。ゆっくり、いただくとしよう」
こうして、リラによる叱咤は終わったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます