第一章六節 召喚
「……済まない。
青年はこの状況になって、少女をお姫様抱っこで運ばなかったことを詫びた。
「抱きかかえていれば、こうはならず……もう少し、逃げられただろう」
「今更、良いですわよ」
青年の詫びを、少女が止める。
どの道、今更詫びようが、この窮状を脱する事は叶わないのだから。
「それにしても、わたくしの“あの子”さえあれば、あの程度の
「何だ、その
「あの
少女は忌々しげに、左肩に(青年と少女にとって)右側を向いた狼のマークが描かれた、5台の
やがて、痺れを切らした様子の
『オママゴトは終わりか? なら、オレ達のアジトにまで来てもらおうか!』
どう考えても逃げきれないと踏んだ男達は、最後の情けとばかりに二人の会話を静観していたのである。
もっとも、既に足音が響いている今では、その情けも時間切れであるが。
『おら、来い!』
「ッ……」
全てを察し、息を呑んで“その時”を待つ少女。
だがそんな少女とは対照的に、青年に諦めの意思は見られない。
「……アズリオン」
「え?」
ぽつりと呟かれたその言葉に、少女が首をかしげる。
「来いッ! アズリオンッ!」
青年は少女の疑念を無視して、声高に、その名を叫んだ。
一拍置いて、突風が吹き荒れる。
『ッ!? 何だ、こりゃ!?』
あまりの暴風に、腕を伸ばしていた
やがて、暴風が晴れると――
青年と少女がいたはずの場所には、全高15mの、漆黒の騎士が立っていた。
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