ロックは死なない ~Rock Will Never Die~

@Rokuna55

第1話 Jumping Jack Flash ジョシュ・エバンス編 Part1は

俺は昔から割とガキ大将的なガキだった、気に入らない奴とは喧嘩して、好きな女の子の唇を奪い、自分の好きなように生きていた、しかしその反面心の中では俺はこんな人間じゃないんだと葛藤もしていた、普通に皆と仲良くしたい、恋もしたい、ってな、けど一旦このキャラを始めると引っ込みが付かなくなってズルズルと続けちゃうんだよ。

そんなある年の誕生日父さんからお下がりのカールへブナーのベースを貰ったんだ父さん曰く「昔ビートルズのコピーをやってた時に買った」らしいでも正直当時の俺はそんな物に興味が無かった寧ろ好きな娘にどうしたら好かれるかとか喧嘩が強くなるにはどうしたら良いかとか馬鹿なことばかり考えてた、だから全ったく触らなかった。

そんなある日父さんが死んだ。

その日父さんは友人のボブと酒場に行った。その帰り道父さんから電話があった。

電話を取ったのは母さんだった、最初は仲良さげに話していた「早く帰ってきなさい」やらなんやら、すると急に母さんの態度が変わりしきりに「大丈夫!?大丈夫!?」と言い始めた、俺は狼狽える母さんから受話器をひったくり父さんに話しかけた「大丈夫?父さん」父さんは辛そうながらジョークを飛ばした「父さんが出血多量で生き延びられる体なら大丈夫かもな?」俺はこんな状況でもジョークを飛ばす父さんに苛立ちを感じた「そんな事はどうでもいいから何があったの?」父さんはなるべく事細かに説明した通り魔に腹を刺された事、血が止まらないこと、そしてどんどん父さんの声が小さくなる、恐らくその時父さんは死を悟ったのか深呼吸をして少し間を置いて一生忘れられない事を言った。

「ジョシュいいか?母さんや妹と弟を救えるのはお前だけだ、家族の事はお前に任せた、中学に進んで高校も行って大学まで行けよ?

最後にお前は興味無さそうだったけど父さんのベース大事にしろよ」そう言って父さんは電話を切った。

とても寒い12月だった。

家族は俺含め皆悲しみに落ち込んだ、母さんなんて父さんの葬式の日一晩中泣いてた。

俺がベースを真剣にやりだしたのはそれからだ父さんの遺言と形見だからと言う事も有るが、深く沈んだ家族の雰囲気を少しは明るくしたくて、なら音楽の方が手っ取り早いと思ったんだろうな、それから家族の中に笑顔が増えたような気がする、だが俺の心の中にはポッカリと穴が空いたままだった。

そして俺はジュニアに上がった。

その年の夏、俺の街にローリング・ストーンズがやって来た、俺は勿論見に行ったさ。

最初はベーシストのビルワイマンのプレイを参考にしたくて見に行ったが俺が心を惹かれたのはビルじゃ無かった。

ミックジャガーは会場の端から端まで走るし、ロンウッドは聞いたこともないフレーズを弾き出すし、そして何よりキースだよ俺はキースに一目惚れしたね、彼のソロは今まで聴いてた音楽なんかとは訳が違うんだもんな。


ジャンピング・ジャック・フラッシュ

Byローリング・ストーンズ


暴風雨の最中に俺は生まれた

叩きつける雨にお袋は怯えて泣いた

でも大丈夫

そいつは冗談 でも大丈夫

俺は稲妻野郎

そいつは冗談 冗談 冗談


ライブは終わり俺はストーンズのメンバーにお礼が言いたかった、心から素晴らしいと思えるパフォーマンスをしてくれたストーンズにね。

俺はバックステージに向かった、するとバックステージの前に用心棒が二人俺はそっと近付いて聞いた「あのーストーンズのメンバーに会いたいんですけど?」すると用心棒は遇らうように言った「だめだめ、パスを持って無いと入れられないよ!」当たり前と言えば当たり前な返事、しかし俺は食い下がった「そこを何とか入れてよ!」だが帰ってくる言葉は同じ「ダメダメ帰った帰った」しかし俺は諦めずに交渉し続けた、交渉し続けてお互い疲れ俺は内心諦めかけてたっとその時楽屋の扉が開いて一人の男が出てきた、マネージャーだろうか?用心棒が訳を話す「嫌ね、このガキがストーンズのメンバーに会いたいって言って聞かないんですでもすぐ追い払いますから」するとマネージャーらしき男は予想外な事を言った「そんな事だろうと思った、入れてやりな」俺と用心棒の二人が驚いたのは無理もない、驚きながらも平静を装い用心棒が言う「え、でも」するとマネージャーらしき男が言った「ミックが入れてやれって言ってるんだ、入れてやれ」用心棒は渋々「まーカトラーさんが言うなら良いですけど」っと言った後ドアを開け放ち俺を見て「運が良かったな小僧入りな」そう言った用心棒は声には出さすども『一生に一度のことだ楽しめよ坊主』そう言っていた。

俺はすっかり有頂天になったなんせあのストーンズと話せるんだから、俺は興奮しながらも恐る恐る中に入った、すると全員が一斉に俺を見た、ロンウッドはウィスキーを口に咥えたまま、ミックは煙草を吸いながら、そしてキースは薬をやりながら、茫然自失の俺に最初に話しかけたのはマネージャーのカトラーだった、「君がストーンズに会いたがってる小僧か?名前はなんて言うんだ?」俺は緊張しながら言った「ジョシュ ジョシュエバンスですよろしく」すると薬をやってへろへろのキースが聴いてきた「ジョシュキョウノオレタチノライブドウダッタ?」俺は相変わらず緊張と同時に興奮しながら言った「最高でした! 最後のジャンピングジャックフラッシュなんてかっこよすぎて涙が出てきました」

すると相変わらずへろへろのキースが言った「キミハガッキハナニカヤルノカ?」俺は「ベースです!」と即答した、すると丁度キースに隠れる様にベースの調子を見ていたビルからベースをひったくるとそれを俺に渡して「ジャアイッパツジャムデモスルカ!」と言いあの黄色のテレキャスを取りアンプのスイッチを入れ俺に言った「オレノリフノアトニツイテキナ」それから間髪入れずジャンピングジャックフラッシュのリフを弾き始めた。

それについて行くように俺もベースラインを弾いたそれからロンやビルもジャムに入って来た、ドラムのチャーリーは机や椅子を叩き、ミックは歌い始めた。

4.5小節ジャムった辺りでキースが声を張り上げた「ちょ、ストップ!ストップ!」俺を含めメンバーは演奏を止めた、ミックが怒鳴った「何だよ乗って来たのに」キースは俺からベースを奪いビルに返すと俺を見て言った「ジョシュ、お前ベースと言う楽器を心から愛しているか?」俺はその質問に直ぐに答えられなかった、30秒ほど考えてから「まぁそれなりには、親父の形見ですから」と答えた。

するとキースは怒った様に言った「いいかジョシュ俺達はプロのロックバンドなんだ! 皆それぞれのパートを心から愛している! だからそれなりではやって欲しくないんだ! それが今日知り合ったばかりの田舎者の小僧だろうとな? 良いか? ベースが嫌ならギターを弾け! これ貸すから」と言うと持っていたテレキャスを俺に渡し言った「じゃあいくぞ」俺はドギマギしながら言った「えっ、でも俺ギターなんか弾けないよ」するとキースは「俺を見て見様見真似でも良いから弾いてみろ」と言う。

さっきと同じく先にキースが弾き始めた、俺も見様見真似で弾いた周りのメンバーも一緒になった、キースのソロが始まった、その後はロンのソロ、ビルのソロ、チャーリーのソロ、ミックはハーモニカを吹き始めた、それで終わるかという時キースが俺の方を見たかと思えば声を張り上げ「ジョシュエバンス ソロタイム!」と叫んだ。

俺はベースのスケールでソロを弾いた、それはもう無我夢中で弾いた、キースやロンやビルはリズムを維持し続けた、どれくらいソロをやったか分からないくらい俺のソロタイムは続いた、キースが俺に目配せをした恐らく終わりの合図だろうと思いリフを弾いた、そして大団円の中でローリング・ストーンズと俺のジャムは終わった、俺はキースにギターを返そうとしたするとキースは俺にそれを渡してこう言った「ジョシュやるよ」俺は驚いて聞き返した「えっ!本当に!?」キースは呆れたように「2度も同じことを言わせるな」と言った、俺は嬉しかった憧れのキースからギターを貰えたのだから、何とボディにサインまでくれた、しかもストーンズ全員の。俺は礼を言って立ち去ろうとした、するとキースが俺に再び声を掛けた、「なぁジョシュ、今日からギターを必死にやるんだぞ? 俺からのプレゼントだからな、だが忘れるなお前の親父さんがくれたベースも大事なものだ、親孝行をするつもりでベースも一所懸命やるんだぞ?いいな?」

俺は興奮しながら答えた「分かった!大事にするよ! だから本当にありがとう! 皆もありがとう!」そう言って俺はキースから貰ったギターを抱えて帰った、次の日友人達に羨ましがられたのは言うまでもない。

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