戦湯!
不明
第1話 戦湯!
皆は銭湯と言うものをご存じだろうか。
家にお風呂がないとき、その場所に通わなければいけない場所。
だがその銭湯にある都市伝説がある。
毎日一番風呂に入るとその人には幸運が訪れるということに……。
………
……
…
とあるアパートに住む一人の高校生、名前は修。
家賃一万二千円風呂無しボロアパートに住む修は立ち上がるとケロリンと言う名の桶と純白のタオルを持ちアパートの扉を開ける。
修は険しい顔をして歩く、歩く、そしてついたその先は木造で大きな煙突のある湯と書かれた垂れ幕のある場所……銭湯だ。
しかしその銭湯はまだ空いておらず何人もの人が入り口前でたむろしていた。仕事終わりであろうサラリーマン、ご近所のお爺さん田中さん、ライバルの高校生シャケオどの人すごい目つきで待っている、がその中に……。
「あれ、修じゃんヤッホー」
「なっ!」
クラスが一緒なだけである女子、御子がそこにはいた。
「ば、馬鹿野郎! あれだけこの時間には来るなと言ったのに」
「えっ、えっ……何、私お風呂に入りに来ただけだよ」
この銭湯は仕事終わりの客を狙い六時に開く。もう少しで六時と言う場面で何故来たんだ。
「今に分かる、この銭湯の恐ろしさが」
「はぁ……」
そして六時になった瞬間、自動で扉が開くすると同時に……男たちは駆け込んだ。
「……あれ?」
その場所には御子だけが取り残された。
勢いで入っていった男たちだったが中では綺麗に並びカウンターに座るおばあちゃんに次々と百五十円を支払う。
・ルールその一
おばあちゃんは困らせない。
「くっ今回は中間か……」
修も百五十円を支払いいそいそと中に入るとすでに服を脱ぎ始めているサラリーマンの姿が。これは早く脱がねば……
修もカゴを探して服を脱ごうとする……が。
「何……だと……」
いつもは横一列に並んでいるかごだがそのかごは今は縦に重ねられており人だかりができ取れない状況になっていた。
「誰がこんなひどい事……あっ」
最初に入ったサラリーマンがこちらを見てにやりと微笑む。こいつの仕業か。
仕方ない並ぶしかないのか……
カゴが縦に重ねられているため一息つく小太りの男がイチゴミルクをぐびぐび飲んでいる。
あいつはもうだめだ、最初にキンキンに冷えた飲み物を口にするなんて、ふろ上がりの楽しみを潰しているようなものだ。あいつはもうやる気を失う。
……クソ、敵の心配をしている場合じゃないのに。
今は縦に重ねられたかご、そしてその周りにできている小さな人だかりを超えなければ……はっ。
修はサラリーマんのカゴを見るまだ何も入っていない……そうだ。
修は靴下を片方脱ぎボール状に丸め、そのままカゴに向かって勢い良く投げた。
その丸められた靴下はカゴにピンポイントに入った。
「なっ、馬鹿な!」
サラリーマンの驚く表情を見てにやりと笑う。
「そのかごは服を最初に入れた俺のものだ、お前は取りに行きな」
・ルールその2
人の物には勝手に触れてはいけない。
・ルールその3
カゴに入った他人の服を勝手に取り出してはいけない。
この二つのルールに従いサラリーマンは縦に重ねたカゴを取りにいかなければならない。自分の作戦におぼれたな。※マネしないでください
そう思いサラリーマンの横から素早くカゴを取り服を脱ぎ始める。
ぐっだりするサラーマン終わったなサラリーマン。
服は脱ぎやすいようにTシャツとゴム時のズボン、完璧だ。
素早く服を脱ぎ全裸になると勢いよくお風呂の扉を開ける。
そこには大きなお風呂がある。だがまだだ、まだ入ってはいけない。
ゆっくりと歩を進めシャワーの前に立つ。
・ルールその4
お風呂内では走らない
まずは頭を素早く洗い、そして体、足、上から洗うことで一度で汚れを綺麗に洗い流すことが出来る。
自分は持ってきた温泉セットシャンプーを手に出し泡を立て、頭を洗いはじめる。
・ルールその5
体を洗って湯船につかりましょう
その時よこに近所のおじさん田中さんが横に座る……手に泡を立て頭を洗い始めてすぐに流した……
「なっ」
田中さんは昨日に比べ……頭が綺麗に剥げていた。
素早いながし、田中さん一番風呂のために髪の毛を切断……嫌、抜け落ちているのか……
少し残った髪がシャワーから出ている水で綺麗に抜け落ちてゆく……今年田中さん八十一歳、この歳まで髪が生き残っていたのだが、誕生日を境に抜け始めたのか……くっ
シャンプーが目に入りそうだったので目を背ける……その時、田中さんの声を聴く。
「これで一番風呂はわしのもんじゃ」
それで正気に戻る。
田中さんは髪を失ったことのショックより、一番風呂を優先している。
そうだ、人の髪を心配をしている場合じゃない。
俺は最低でも二回髪を洗うと決めている、二回髪を洗っている間に田中さんに一番風呂をとられてしまう……どうしたら……そうだ。
「田中さん、お背中流しましょうか?」
「え、あ、うんそうじゃのう……お願いしようかのう」
・ルールその6
他の人の誘いは断らない
田中さんの背中を洗う、そのついでに片手で自分の頭をごしごしと洗う。
駄目だ、これでは時間は稼げてもこれでは田中さん方が早く湯船に行ってしまうかくなる上は……。
「田中さん、ありがとうございます」
「え、急にどうしたんじゃ」
「感謝しているんです、柿をくれたり一緒に将棋を指してくれたり……田中さんのおかげで毎日が楽しくて……」
「うぅ、はっいかん……ちょっとトイレに行ってくるわい」
そう田中さんは言うと立ち上がりお風呂から出て行ってしまう。
その様子を見てにやりと笑う。
田中さんの家族は遠くにいるため孫はめったに見れない、そんな中毎日コツコツ孫の記憶に自分が入り込み感情を操作する。
田中さんは人前では泣かない、今泣きに行ったのだろう。
ごめんね田中さん、これは本当の気持ちだが正直心が痛い……だが一番風呂のため※人の心を操作してはいけません
体を洗い、シャワーで流し遂に湯舟へと向かった。
これで入るだけ……とはいかない。
ルールその7
かけ湯はしっかりしましょう。
かけ湯を三回しなければいけない。
ケロリンを持ち湯船へと向かう……
「待っていたぞ修」
「やはりかシャケオ」
陰から現れたのは一番風呂を争う究極のライバル、シャケオ。そいつが全裸で手を組みゆく手をふさぐ。
「かけ湯をするんだろ、ならば私にもかけてくれないか?」
「くっ」
シャケオは早い……だがしかし忘れ物が多いという弱点がある。今回はまいケロリンを忘れてきたのだろう。
だがルール6、他人の誘いは断らないというものがありこの誘いは断れない。
シャケオに先に三回かけ湯をすれば先に入られるのは確実。
かと言って自分がかけ湯にたどり着くにはシャケオを乗り越えなければならない。どうしたら……作戦なんてない、戦うしかないんだ。
持参した霧吹きに水とシャンプーを入れたものを勢いよくふり、そのまま噴射する。それと同時に開いても同じく噴射した。
「「あああああああああ目がああああああああああ」」
二人はのたうち回る※絶対にマネをしてはいけません
最初に立ち上がったのは修、充血した目を見開き、お湯からケロリンで掬い取るとそのまま自分の体にかける。
まず一回、そのまま二回目に……だがそんな甘くない。
シャケオが立ち上がると横からシャワーを取り水を勢いよく噴射した。そのあまりの冷たさにケロリンを一つはしてしまいシャケオにうばいとられてしまう。
「ハハッこれでお前はもう何も……なん……だと……」
修の手にはもう一つケロリンがあった。
「まさかこうなることを予想して上にもう一枚重ねていたとでもゆうのか……」
そして二回目のかけ湯を終わらせ修は笑う。
「ふっはああああああああああっはあああああああああ俺の勝ちだ!一番風呂は俺のもんだ」
そう言ってかけ湯を三回目を終わらせ湯船につかろうとしたその時……
『ザッブーン』とゆう湯船からお湯があふれ出る……
何の音だ、周りを見ても自分以外は入ろうとしていないじゃあどこから……あっ
修は右手にある壁を見るその奥は女子風呂……そう女子風呂で聞こえたのだ。
「聞いたことがある、古い銭湯は女湯と男湯の湯舟がつながっているということに」
絶望する修の肩に手を置きシャケオが慰める。
「う~んいいお湯」
「御子おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
その隣から御子の声がし、修は叫び狂うのだった。
ルールその8
一番風呂を争った跡はみんなで仲良く湯船につかりましょう
おしまい
戦湯! 不明 @fumei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます