第97話*
待つことやや暫し。もう一度隅から隅までメニューを眺めていると料理が運ばれてきた。皿の中にでろんと伸びるフェトチーネの太い麺の上にミートソースがかかっている。一口食べてみるとソースは業務用のレトルトの味がする。恐らくセントラルキッチン方式でソースは温めるだけなのだろう。
奇跡的にフェトチーネの茹で具合も、ちょっと茹で過ぎの範囲に収まっていた。感動するほどおいしいわけでは無いが一定水準を保っている味の物を口にできるだけで幸運なのかもしれない。これから一仕事始めようというときの腹ごしらえとしては十分だった。
あなたは10ポンドをテーブルに置き、ウェイトレスに機会があればまた来るよ、とお世辞を言って店を出る。あなたは気を引き締めて駅の方へ道を戻り始めた。
⇒第13話に進むhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890935680
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