第96話*

「ぐわああ」

 吸血鬼が断末魔の叫び声を上げる。ぶすぶすと黒い煙をあげて燃えていた。端正な顔立ちが消え、灰となって散る。やがてカランという音がして防弾ベストが地面に落ちた。


 彼がくるりと振り向いて、ニヤリと笑う。

「どうした? 鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしているぞ」

「一体これは……」


「日の光を浴びただけのことさ」

「まだ日照時間までには時間があったはずじゃ」

「そうさ。それに日の出ってのはいきなり天頂に現れるもんじゃない」

「ということは……」


 あなたの顔に理解が広がる。

「人工衛星で太陽光を反射して投射したんだ」

 彼は防弾ベストを蹴飛ばしながら言う。

「そう。そういうことさ。最近はこういうものを使うようになってきたからな。こちらの装備もグレードアップしたわけだ。さて、屋敷を掃除しなくちゃな。どれだけ敵が残っているか確かめようじゃないか」


⇒第58話に進む

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890935249/episodes/1177354054890936032

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