第21話 魔法が次の段階へと進んだ日

 前回の残酷なシーンを、かなりマイルドに表現したあらすじ。


 重症の盗賊と地下トーチカでデートしたフーライ。

 アジトの場所を聞き出したので、ナマのまま盗賊は地下深くに埋葬。

 初めての殺人に吐いて泣き疲れて眠る。


 以上。




 フーライが気が付くと、既に辺りは暗くなっていた。

 体は地面に横たわっており、キリカに膝枕をされていたが鎧で硬かった。

 シチュエーションは嬉しいものがあるが、感触が残念でならないフーライであった。


「わりぃ、キリカ。助かった」


 かけた迷惑としてもらった世話の、謝罪と礼を言って体を起こす。


「持ちつ持たれつ、ですよ」

「そうか」


 キリカの優しさに感謝しつつ、フーライは情報のすり合わせを行う。

 寝顔が可愛かったですよと言われ赤面しつつも、何でもない風を装って話しを続ける。

 キリカが休んでないので朝まで睡眠を取る時間とし、それからは盗賊のアジトを目指す事になった。


 初めて能力に目覚めた時と同じ様に。

 しかし段違いに深く繋がっている感覚がある。

 試しに魔法を行使すると、手足の如く扱える様になっている。

 土が盛り上がり簡易カマドとなり、その上には石鍋が作られた。

 中は沸騰寸前の湯で満たされ、あとは材料の投入待ち状態にまでなっていた。


 風で薄切りにしたウサギ肉をフォークに挿して湯に潜らせ、皿に乗せた塩を僅かに付けて食べてみる。

 弱った胃にも食べやすい、薄くも美味い仕上がりになった。


 大皿に薄切り肉を山盛りにして、キリカと各自で湯に潜らせて食べる。

 肉だけでは体に悪いからと携行食も1本食べたが、これを美味しく食べる工夫もしようと決意した。




 食後はかなり歩いてから地下トーチカで眠る。

 日中あれだけ寝ていたのにと思ったが、気絶と睡眠は違うのか。

 それともあれだけ寝ていても回復しきれないほど消耗してしまったのか。

 寝床を用意してプーツを脱ぐと、瞬く間に眠ってしまった。

 そんなフーライを見て優しい微笑みを浮かべるキリカ。

 魔法で作られた薄明かりの中、キリカも除装して就寝した。




 昨夜熟睡出来たフーライはほぼ復調しており、ドライガーの強化能力もあって順調に歩みを進めていた。

 盗賊のアジトには囚われている人物は居らず。

 貨幣も保存食も、その他物資も僅かしか保管されていなかった。


 誰も囚われていなかった事を2人で喜び、バルバガグズを目指し旅を再開した。

 キリカの腰には盗賊の使っていた安物の剣しかない。

 彼女の刀はまだ修復中だ。

 それに昨日は迷惑もかけた。

 だからせめて、刀が直るまでは自分が頑張らないと。

 空回りしないように注意しつつ、フーライは強い眼差しで先を見つめていた。







 あとがき

 これにて第1章は終了ですが、同時に自主打ち切りです。

 試験的なものもあってPVが伸びませんでしたしね。

 5桁くらいの人数から、再開を求められれば別でしょうけど……

 作品的に無理ですかね。


 しかし何が悪かったのかは推測してみたので、今後の糧にはなったと思います。

 ではまた。

 別の作品を見かけたら、よければ一読をお願いします。


 神 運徳

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世の中、反射さえあれば大体なんとかなる 天神 運徳 @amezingdragon831

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