第肆音目「過去の事、現在の闇」

「人には人生という喜劇がある。」


驚いた顔をしている私の目を見て、続ける。


「だが、私達MusicParadeは一度幕を閉じて100年以上経ってからこの音楽が亡くなった世界に人外として生まれ、この世界で生きている。」

急に立ち上がり窓を開け、風に寝癖だらけの髪がなびいている。


「せっかく貰えた新しい身体と喜劇の舞台だ。残酷な運命を打ち砕き、楽しんでやろうじゃァないか。」


そう言った女の人の目はどこか悲しそうに未来を見つめていた気がした。


「さて、君は本来なら研究所に引き渡さなければならないのだが、この特殊部隊に入隊すれば、引き渡すこともない。否、引き渡せができないの方が正しいかな。何故なら、」

いきなり後ろの扉が勢いよく開き、


「僕が『音楽家による保護法』をたった今、変えてきたからね。法律名は、『音楽家対等法』かな。まぁ、バッハ先生のお力添えがあるから大丈夫だよ、新人くん!」


周りの空気が凍りついているのを知らないらしい青い髪の青年がこちらを向いて、


「やぁやぁ初めまして!僕は警察特殊部隊クラッシック音楽部隊隊長、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト!きみの身柄を引き取ったルートヴィヒの上司で、ええと、まぁそんな感じかな?よろしくね!」

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Music Parade 月村 縁(つきむら ゆかり) @tsukimurayukari0830

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