エピローグ
咲悠良が亡くなったのを聞いたのは、新年になってからすぐだった。
「咲悠良が……嘘だろ、年賀状と手紙をくれたけど」
机の上に置かれた手紙を開けて、再びその手紙を読み始めた。
龍樹へ
たぶん、この手紙を読んでる頃には、わたしはこの世にはいないかもしれません。
わたしは原因不明の難病で、まだ画期的な治療薬はなくて、いままでは似たような薬を使っていたけれど……
難しい選択をしましたが、もし死んだら献体ということをします。
自分と同じような病気で苦しんでいる人たちのために、役に立ちたかったからです。
見えないけれど、あなたを近くで見守っています。
いままで、ありがとう。
咲悠良より
その手紙を読んで、涙が止まらなくなった。
君が初めてだった。
こんなに愛しいと思ったのは。
「咲悠良、ありがとう。」
棺で眠っていた彼女はとてもきれいで、気に入っていたという着物を着ている。
花をたくさん入れられた棺には、クラスメイトからの寄せ書きと千羽鶴も入れられていた。
「龍樹は
「でも、一瞬は両想いだったけどね」
咲悠良に甲子園の姿を見せてあげることはできなかったけど、絶対に行ってみせる。
三年生の夏は思ったよりも長かった。
甲子園にようやく出場することができた。
俺たちは三回戦敗退したけど、とても嬉しかった。
少しだけ 須川 庚 @akatuki12
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
須川庚の日記 その3/須川 庚
★15 エッセイ・ノンフィクション 連載中 236話
拝啓 先生へ/須川 庚
★6 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます