第6話 KGワークス

 、の言葉で皆が西村に目を向けた。

「八潮って埼玉の?」

 白捩が一番最初に口を開いた。

「ああ。八潮のKGワークスって所だ」


 次の日、八九寺の2005年式のC-4500でみんなと八潮へ向かった。

「よし、着いた」

 KGワークスは主に旧車を扱うチューニングショップらしく、エンジンが下ろされたサバンナRX-7や2代目ルーチェがリフトに上がっていた。

「おいおいおい。ウチは旧車専門だぜ? どでかいディーゼルなんてもってのほかだぜ?」

 と店の奥の方から店長らしき人物が出てきた。

「いやいや。チューニングは自分でやってますよ」

「ほう。じゃあ煽りか?」

「いえいえ。聞き込みです。西尾って知ってますか? トレノの」

「ああ。うちの常連だぜ?」

 常連なら話が早い。

「家の場所とかって知ってます?」

「プライバシーは教えねぇよ」

「プライバシーってことは?」

「用事なきゃとっとと帰れ」

「わかりました。では」

 八九寺はC-4500へと歩む。

「あ、店長。DR30のドライブトレイン頼めますか?」

「ああ? おめースカイラインなのか? 今度作るから早く行け!」

 俺はC-4500に乗り込んだ。

「収穫なしかー」

 八九寺が嘆く。

「そりゃー、一筋縄じゃいかないわよねぇ……」

 桂城が応える。

「そういえば、店長になに話してたの?」

 桐天が聞いてきた。

「あー、ワンオフドライブトレインが気になってね」

「ワンオフドライブトレインってどうなってんのかね」

 白捩が言う。

「うーん、大手企業が作ってないのをショップが機械駆使して作るんじゃないかな」

 八九寺が答えた。

「八九寺作れるじゃん」

「ムリムリ。じゃあ行くか」

 C-4500のディーゼル音が低く唸ってKGワークスの敷地から出た。

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