第3話 チャレンジャー

 ゴトン、ゴトン

 首都高の継ぎ目がいつもより早く聞こえる気がする。

 9号から湾岸線へ入った。

「どう? 森」

 LINE通話で繋げてる森に聞く。

「いいぜ。パワー落ち無し!」

 グオオオオーン!


 湾岸線を横浜方面へ飛ばしてると、ミラーにチラッと写った車が見えた。

「あれは……、見ない車だな。チャ、チャレンジャー!?」

 グルルォーンと低音を響かせながら過ぎていく緑のチャレンジャー。

 右車線に入ってアクセルを踏み込んだ。

「ちょ、まてよ!」

 スマホから森の声が聞こえた。


「あのチャレンジャーなんだったんだ?」

「さぁ。すごい勢いで出口向かったからな」

 チャレンジャーはあのあと11号に入ったあと、C1の芝公園の出口で降りていった。

「まぁ、パワー落ち無しでノッキングもなし。庵野はいい仕事するなー」

 ハハッとかえしたちょうどその時、着信音がズボンのポッケから鳴る。白捩と表示されている。

「もしもし?」

「もしもし、星也ー?」

 声の主は白捩ではなく、一緒に乗っている桐天だ。

「今さー、チャレンジャー追ってたんだけど見なかった?」

「緑だったら見たぞ。芝公園で降りた」

「あー、速いねぇ」

 白捩は後ろで「アオリイカのクセにぃ!」何て言ってる。

「莉埜がアオリイカされてカッてなってねー。じゃあね」

 電話が切れた。

「じゃ、俺そろそろ行くわ」

 森はハコスカに乗って走り去った。

 俺はガレージに戻った。

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