第368話親になるという事

娘、レベッカ5歳。


本日は王子とキャサリンの息子エリオット王子の5歳の誕生日パーティー。

そう娘も遂に社交界デビューってやつだ。

王子は見事に娘と同級生。キャサリンの狙い成功と言うか婚約者候補の筆頭になっている・・。

婚約者ねぇ。王家・・・。無理じゃねーかなあ。と思う日々。


「ねー。お父さん、お城探検して良いー?」

娘は目を輝かせてルイスの手を取る。


「レベッカ。今日は大人しくしとけ。後、外ではお父様な?」

「はーい。」

シツケってのは難しい。上手く行っているのか行っていないのか。


我が家に居たら言葉遣いだけはどうしようも無く・・。私とルイスだけでなくグレンさんとローズさんも最近は家の中では素丸出しだし。

しかし、見事に家と外を使い分けれる5歳児となった。


城のパーティーとか本当に久しぶり。

エリオット王子の誕生時にやった以来かなあ。


「うぉ!久々の大行列!クライスと会長かな?」

パーティーの握手会現象何て忘れてた。そうだ、今でもこんなになるんだな。


「きゃー!!ルイス様とルナリー様がいらっしゃったわ!」

誰かがそう叫んだら流れが此方にも来た。


笑顔で御挨拶と握手。

娘もニコニコと淑女らしい態度で横に居る。

ジョージとカイン、エミリアとブルーさんの登場で少し流れも分散し歩きやすくなった。


「人気あるねぇ。お父様、お母様。」

うふふと娘は嬉しそうにルイスに抱っこを強請る。


「そうだなあ。相変わらず人気あるよ?」

ルイスは嬉しそうに娘をヒョイっと抱き抱えた。

そっくり親子。可愛い。


レベッカはルイス似だ。黒髪のストレートロングで瞳は茶色。

「レベッカは可愛いなあ。」

抱き抱えられた娘の頭を撫でると嬉しそうな笑顔が益々可愛い。

親バカ街道まっしぐらだ。


「おーし。挨拶するぞ?下ろすぞー。」

「はーい!」

やっと王子とキャサリンの元へ辿り着いた。


「エリオット王子、お誕生日おめでとうございます。」

エリオット王子はキャサリン似で可愛い。


「本日はお越しいただきありがとうございます。」

エリオット王子はぺこりと紳士なお辞儀をして私達に御挨拶。


「おー。偉いなあ。王子らしいぞ!」

ルイスが褒めるとレベッカも

「本日はお招きありがとうございます。」

と淑女らしい御挨拶をした。

張り合ってる・・・。ちょっと可愛くて笑いそう。


「レベッカ。遊ぼうよ。」

「うん!行こう!」

何だかんだで0歳の頃から顔合わせているから2人は仲良しだ。

「走り回って迷惑かけるなよ?」

「はーい!!」


「無事に誕生日パーティーが迎えられたわ。」

遊ぶ2人を眺めながらキャサリンがふぅと溜息を付く。

「自分の時より準備が大変でしたね。」

王子も苦笑い。


「握手会終了!!お招きありがとう!って息子は?」

会長達が群がるファンから漸く脱出してやって来た。

「あー。レベッカと遊んでる。」

指さすと皆、微笑んだ。


「相変わらず子供は元気だねぇ。」

クライスと会長は変わらず2人仲良く暮らしている。

「エミリアは?息子置いてきた?」

「うん。実家に。」

エミリアの子は今、2歳。


「身重なのにごめんね。」

「それはキャサリンもでしょ?」

そうそうエミリアもキャサリンも妊婦さんなのだ。

ちなみに・・・。

「ルナリーのとこの長男も家?」

「うん。まだルークは泣くし外には出せねーな。」


狙いを定めた様に2人目はキャサリン、エミリアの所と同級生になる。


「男の子でも女の子でも仲良く出来たら良いわね。」

キャサリンは微笑んで自分のお腹を擦る。

「どちらでも嬉しい。3人同級生!」

エミリアも優しくお腹をポンと触った。


「出来ればアリア学院に入れたいわよね。」

「そうなんだよなあ。」

「本人の好きにとは思うけどやっぱりアリアに入れたい!」

3人で顔を見合わせてクスクスと笑う。


親になるということ。


なってみないと解らなかった事。


「自由に育てたいと思うのに。ダメね。レール引いてやりたくなるわ。」

キャサリンが苦笑した。

「私もだよ。本当に同じ。ガキの頃はそれが嫌だったのにな。」


そのうち来る反抗期。娘や息子はどうなるだろう?


「私、前世の両親に感謝と・・・そして謝りたいわ。」

「私もだよ。親の心子知らずだったな。」

遊び回るレベッカとエリオット王子。


きっと前世の親も今の両親も。

こんな気持ちで私を見ていたのだろう。


この子が幸せになるなら何でも出来るよ。


「さあ。パーティー始めますよ!」

王子が声をかける。


エリオット王子もレベッカも此方に戻って来た。


楽しそうな笑顔を浮かべて。


王子が来客に挨拶しエリオット王子とキャサリンも挨拶した。


レベッカはギュッと私とルイスの手を取って笑顔で見上げる。


本当にこの子の為なら何でも出来る。


いつか。


反抗期が来てレベッカやルークがヤンキーになったとしても。


母は負けねーからな。


「何、ニヤついてんだ?」

「んー?将来の事とか考えてた。」

ルイスはそんな私の顔を見て気が早いなあ?と笑う。


母や父になった私達もこれからずっと成長していかなきゃと思う。


「遊んで来るよ。」

「行ってらっしゃい。」

子供達は楽しそうにホール内で遊び始めた。


しかし、レベッカも人気者だ。財閥目当てだろうけど。エリオット王子と同じ様に同世代の子供達が群がっている。


「あれだなあ。嫁にやりたくねーな!!」

「同感だ。」

ルイスとしみじみ遊ぶレベッカを見つめて頷きあう。


私達は高校生で結婚してしまったが・・・。


自分達の事は棚に上げているが。やっぱり子供に対してはこう思って仕舞うんだよなあ。


親になるという事。


それは、新たな人生の始まり。

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ヤンキー乙女ゲームの主人公になる!虐め?上等!夜露死苦! 美浪 @sazanami373

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