終章 別れと、再会
第32話 別れと、再会
終章 別れと、再会
タクミと、それにフランツもなのですが、しばらくの間は入院することになりました。ナミとシーリンも2人よりは短いあいだですが入院しました。
そして、当たり前の話かもしれませんが、帰ったあとでタクミはお母さんやおじいちゃん、迷惑をかけたいろいろな人にたっぷりおこられました。
ただ、お父さんはがんばってナミを助けたことをほめてくれました。
ほめられたあと、もし次におなじようなことがあったらかならず相談しなさいと、強い声でくぎを刺されましたけれど。
ブルムゾーンはプロキシマ・ケンタウリのドラグーンの部隊にくわえてもらえることになったと入院中に聞きました。
「先々のことを考えれば、味方につけておいたほうがいいに決まってるからな」
わざわざそのことを教えに来てくれたクリスは、そう言っていました。
でも、気軽に竜が街に出ることはできません。
タクミといっしょにあそんだりは、もうできないのです。
病院からかえっていいと許可が出て、何日かしてから、ブルムゾーンはクリスといっしょにタクミに会いにきました。
「ええと……元気だった?」
『うん。ちょっときゅうくつになるけど、まあファーブニルの子どもから逃げ回るよりはずいぶんマシだよ』
それから、タクミとブルムゾーンはいっしょにいた数日のことを話しました。
たくさん話したいことがあると思っていましたけれど、話し終わってみるとあまりおおくはありませんでした。でも、忘れられない記憶です。
「ありがとう、ブルムゾーン」
『僕のほうこそ、ありがとう、タクミ』
そう言ってタクミとブルムゾーンは別れました。
クリスとはそれからも連絡をとりあうようになりました。
相談をしたいことがたくさんできたからです。
いそがしいはずなのに、クリスは年下の友人にしっかりと返事をしてくれていました。きっと、タクミの気持ちをわかってくれていたのでしょう。
5年生だったタクミはブルムゾーンと会ったとき、11才でした。
だから20才になるまで9年も待たなくてはいけませんでした。
竜に乗る免許を取り、ドラグーンにくわわる資格を得る試験を受けるには、最低でも20才になっていなくてはならなかったからです。
ちなみに20才で試験に受かった人は、クリスをふくめて過去に数人しかいなかったのだそうです。
そして、タクミが20才になった年、その記録にまた1人がくわわりました。
白い竜も、その年にはドラグーンとしての仕事ができるようになっていました。
「久しぶりだね、ブルムゾーン。会いたかったよ」
『うん。これからいっしょにがんばろうね、タクミ』
再会した2人は、そうして言葉をかわしました。
リンドブルムの後継者として、ブルムゾーンの名前は歴史に残っています。そして、その最初のパートナーとして、タクミの名が記録にのこっていました。
星わたる竜の後継者 青葉桂都 @mahoro_vesper_86400
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