ありがとう、さようなら。※シン・エヴァのネタバレあり
今日、午前中からシン・エヴァンゲリオンを見に行った。Qを見に行ったのは高校生の頃。新劇場版を見た知識だけで見ると、Qはよくわからなかった。その後、TV版と旧劇場版(以下、旧劇)を見て、少しずつ理解しやすくなっていったように思う。
シン・エヴァンゲリオンは、完結編だと語られていた。だけどどうせ終わらないんでしょ? また新シリーズ始めるんでしょ? と思っていたんだよ。半信半疑で見に行ってさ。
見終わった後、「エヴァは終わったんだな」という実感がとても強く心に残った。
※以下、超絶ネタバレ。
最初からラストシーンの話で申し訳ないけれど、大切な部分だから最初に話す。本作のラストは、「エヴァンゲリオン」が虚構であることを強く意識させる演出がされていた。ゲンドウの乗る13号機と、シンジの乗る初号機が戦う。その舞台となるのは、運命を変えることのできる唯一の場所。そこでは、訪れた人の記憶にある場所が再現されるらしい。
そこで、実写映画に使われるような「舞台」を壊しながら戦っていた。撮影用のカメラもある。
最終的に親子が対話をし、ゲンドウは人類補完計画を手放す。運命の変革者はシンジに引き継がれ、シンジは「時間を戻したりはしない。エヴァンゲリオンが必要ない世界を作る」と言う。そして、アスカ、カオル、レイの精神を救っていく。最後、シンジだけが取り残された。
そして、「さらば、全てのエヴァンゲリオン」というセリフ。
作品に苦しめられてきたキャラクターたちを救い、最後はシンジくんが自己犠牲で終わらせようとする。だけど初号機とシンジくんの中にずっといたお母さんが、肩代わりしてくれた。そして、作中の苦しみの象徴たるエヴァを槍で貫いていく。
取り残されるシンジを迎えにきたのは、新劇場版から追加されたマリだった。
本当に本当のラスト、大人になってスーツに身を包んだシンジくんとマリの会話が流れる。シンジくんの声が、緒方さんじゃなかった。エンドロールにも名前があったし、神木隆之介くんだと思う。声変わりして、大人になって、マリさんとキザなやり取りをしている!
そして、マリがDSSチョーカーを外してくれ、手を取り合って駅を出るところでエンドロール。このとき、急に実写のドローン空撮映像に切り替わる。
この瞬間、自分自身も救われた気がした。
この「現実への回帰」が、エヴァが終わったことを確信させる要素だった。
新劇場版シリーズの完結編だったのか?
違う、と僕は思う。
キャッチコピー通り「全てのエヴァンゲリオン」が終わった。TV版、旧劇場版、新劇場版。庵野の手掛けた全てのアニメ『エヴァンゲリオン』の、完結編だったように思う。
主要人物のほとんどが死に、舞台を破壊し尽くし、再構築された先はエヴァの存在しない平和な世界。そして、現実世界への回帰。
エヴァンゲリオンという作品にとらわれた全てのチルドレンが、まさしくエヴァの呪縛から解き放たれる作品だった。僕にとって、シン・エヴァンゲリオンは宝物のような作品になるかもしれない。
もちろん、終わるのは寂しい。
だけど、終わりのないものは存在しない。僕らが生きている地球や、太陽系すらも、いつかは終わる。
寂しいけれど、人間は、生きている限り現実世界を歩き続けることになる。虚構は現実逃避のための道具ではなく、現実世界を生きるための原動力だと強く感じさせられた。
エヴァは終わった。
だけど、虚構と現実世界はまだまだ続く。
全てのエヴァンゲリオンに、ありがとう。
さようなら。
ここからは、蛇足。
文章の流れとか何の関係もなく、「ここすき」と書き続けるだけ。
シン・エヴァンゲリオンでは、エヴァQにおけるミサトさんやサクラちゃんのセリフの本当の意味が、語られていた。これにはもう、涙をこらえきれなかった。サードインパクトの罪をシンジだけに背負わせたことへの後悔から、エヴァに乗ってほしくなかったとか。シンジくんがエヴァに乗ることで皆が不幸になって、自分も不幸にしたから乗ってほしくないとか。
ずるいわあ。泣くわ、あんなの。冷酷になったと思ってたミサトさん、だけどQの時点でもDSSチョーカーを押せなかったりしていたミサトさん。シンジくんに対する想い、実の息子に対する想い。ああ、ミサトさんいいわあ。
あと、トウジとかが生きていたことが嬉しかった。
そして、先日プレミア公開された冒頭映像のラスト。あそこで切った意味はこれか、と。びっくりさせやがって、ありがとう。
カオルくんは「どんなときにも希望は残っている」みたいなことを言っていたけど、エヴァQで味わった絶望が、シン・エヴァで希望に変わっていくように感じて胸が熱くなった。
最初の方、シンジくん全然喋らんけど。30分くらいかな? たぶん。
シンジくんの危うい精神状態を、すごく丁寧に描いていたように感じる。上映時間が長くなるはずだ。普通なら冗長に感じるかもしれないけれど、まったく退屈しなかった。
お決まりの「電車の中での心理描写」なども、全く退屈しない。
というか、ゲンドウにここまで共感できるとは思っていなかった。
個人的にキャラクターはマリが一番好きだから、マリがプッシュされてて嬉しかった。ただ、アスカ派の人たちは「ケンスケお前!」と。僕も見ながら「いいところを持っていったなあ」と思ったけど、布石はかなりあったから納得できたよ。マリ派で良かった。
驚いたのが、カオルくんを救済するときの話。
カオルくんは「繰り返し演じる」というようなことを言う。そして、明らかに彼はTV版や旧劇場版と、新劇場版とを渡ってきているようなことを明言する。棺とセリフから察するに、同一個体じゃなくて別個体なんだろうけどね。
あと、アスカの名字が式波に変わった理由もなんとなくわかった。
これまで、さまざまな考察が出た新劇場版。その答え合わせも結構あって、考察を楽しんでいる人ほど「なるほどな」と思ったんじゃないかな。
確実に、ライト層は置いてけぼり。
新劇場版のメインターゲットは中高生だと、序の当時言ってた。当時の中高生も今は立派な大人。ただ、シン・エヴァンゲリオンはTV版から追ってた世代をターゲットに据えている感じが凄い。
まあ……わかりやすさで言えばトップクラスだと思うから、全履修済みの中高生がいたら多分置いてけぼりにはならないんじゃないかな。
それに、細かいメッセージ性とか謎めいた要素とかを抜きにすると凄くわかりやすいんよね。単純に表面上の物語だけさらうのでも、シン・エヴァンゲリオンは楽しめるのかもしれない。
親子直接対決、親子の対話によって非常にわかりやすく楽しめる。
そういえば、中高生も結構見に来てたな。見終わった後、見覚えのある制服を来た子たちがエヴァグッズ目当てに並んだり、エヴァの話をしながら次の上映回の待機をしていたりしたし。
かと思えば、50代以上ぽい人も結構見に来てた。これだけ広い世代に愛される作品なんだなあと、再認識。
Twitterを見るとガチネタバレは少なくて、明らかな嘘ネタバレが多くてほっこりする。エヴァが親指を立てて溶鉱炉に沈んでいくとか、ゲンドウが大人のキスをして終了とか。溶鉱炉ネタは嘘ネタバレの常連だよね。
ただ、見てない人が乗っかるのは作品を玩具にしているようで好きじゃないと思う厄介オタクでもある。
公開初日、月曜日だし、まだまだ見られないという人は多いだろう。早く、色んな人とネタバレありで感想とか考察とかを語り合いたい。
あと、これだけは言いたい。
ゲンドウが主人公。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます