2020年8月
近いのに遠い、手が届きそうなのに届かないもどかしさ
恋とは甘酸っぱいものだと誰かが言ったが、個人的には苦いものだと思っている。恋とはどこまでも苦いし、人によっては辛味さえも感じるかもしれない。片思いをしているときが一番楽しいだとか、付き合い始めたときの幸せだとか、そんなものはとっくに感じられなくなっているんだろう。
僕にとって恋は、実っても実らなくても苦いものだ。
そんな僕は今、恋い焦がれている。
煙草と酒に、恋い焦がれている。
酒も煙草もすぐ買えるじゃないか。コンビニに行けばたくさん並んでいるし、スーパーのレジでも言えば持ってきてくれる。少し遠いけれど地元には煙草屋も酒屋もあるし、日常に溢れている嗜好品のはずなんだ。あまりにも近いところにいるから普段はありがたみに気づきにくいけれど。
今、僕は酒と煙草を我慢している。
別に禁酒禁煙しているわけじゃないんだ。
単に、金が無いんだ。
金。
金。金かあ、金だよな、金、金……。
金だ。
金が無いと恋人にも会えないというのか。
ああ、早くまた会いたい。
酒と煙草が自らの恋人であるというダメ人間宣言に等しい文章を書いてしまっているし、人間としての尊厳はどこにあるのか今一度自分に問いたい気持ちだけれど、それでも僕は酒と煙草を愛している。中毒? 依存? そのとおりかもしれないけれど、恋人にだって少なからず依存するじゃないか。
君さえいれば。
金さえあれば。
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