某フリーライターのマイブック

思考はグルグル巡る

　ライティングの仕事が、しばらく苦痛だった。書いても書いても、手応えが得られない。勉強しても身につかず、身についても否定されてしまう。何をどうすればいいのかわからなくなり、腐ってきていた。腐っても上手い食べ物は限られているように、腐っても魅力ある人間というのもまた限られている。

　嫌だなあ。

　腐りたくないなあ。

　腐りかけ、腐りかけだから！ 肉は腐りかけくらいが一番うまいって言うじゃない？ なんて自分に言い聞かせながら生きてきて、ああもう自分はクソだなあと、ダメだなあと思っていた。

　最近、Youtubeの漫画動画の脚本の仕事を受けている。1本800円と単価は高くはないものの、40分もあれば1本書けた。書けたんだけど、台詞回しとか変えたくて、キャラの魅力を引き出したくて、たくさん考えるようになった。800円を1時間半で仕上げて、僕は思う。

　じっくり考えてこだわれば、仕事も楽しいのかもしれない。

　もちろん、稼ぎにくくはなる。じっくりこだわって仕事をすると、1日に10時間仕事をしても足りないくらいになってしまう。だけど苦痛なまま仕事をしても、グダグダしてしまって結局仕事の時間が延びるから実はトントンだったりする。

　それなら、こだわったほうが良いのではないか。

　この思考は、二年前にもした。

　結果が、腐った。

　思考はグルグルと巡る。自分では以前と違うと思っていても、実は前と同じところをなぞっていることがある。今回は結果的に、どうなるのだろうか。一巡した思考と共に、今度は腐らないルートを辿りたい。