開くことのない最後の扉を……。
僕は正直、かなり心の壁が厚い人間だと思う。「扉」と表現したとしても、その扉は何重にもあって、一つか二つ開けられても最後の扉が残っていれば僕はその人の言葉にどこか不信感を抱くことがある。
あまり人に懐かない。人に媚びない。人のことを信頼しきらない。
僕はとても自由気ままだ。そもそも人にそこまで関心がないのかもしれない。だから人からされた嫌なことをすぐ許せるし、人にイライラすることがないんだと思う。それはきっと優しさじゃない。
ある友達はこう言ってくれた。
「がみくんの中にある優しさは、厳しさと同じ」
僕は本当に好きな人たちには、悪い道に進んでほしくないと思うし、その人が納得いくように生きていてほしいと思う。だから、たまに意見を言うし厳しいことも言っているのかもしれない。まあ、本当に「何も言うことない」くらい共感しかないような人もいるけどね。
そんな僕だけど、たまに、自分で不思議に思うくらい「すぐに信頼してしまう」相手が現れる。
最初は、姉さんだった。あの人との出会い方は別に良いものじゃなかったとは思う。僕が心の拠り所にしてた「一人きりになれる場所」に、突然立っていたんだから。第一印象は「僕の世界を壊しにきた人」だった。怪獣みたいな。
まあ、結果、良い意味で僕の世界を壊してくれた。壊して作り変えてくれた。僕は姉さんと出会って20分くらいで、姉さんのことを好きになった。
二人目は、実は最近出会った人だ。と言っても現実じゃなく、ネットで。こういう場なので名前は伏せるし、どこでどう出会ったかも伏せる。何もかも伏せるけど、一瞬でなんか気を許してしまったように思う。それからどんどん気を許し、最後の扉もたやすく開けられてしまった。
一人目から二人目まで随分と間が空いているけど……。
僕は、今大切にしている、大切にしてくれている友人たちを本当の意味で信頼するのには時間がかかった。最後の扉以外は、学生時代に既に開いていた。一人、小学生から一緒の女友達だけは高校生くらいのときには完全に扉を開いていたと思うけど。
中学で出会った人、高校で出会った人。彼ら彼女らに対しては、大人になってからだ。大人になって本音で話してみると、これまでより仲良くなれた。そうして僕は完全に無防備になる。
大人になってから出会った人には、先述の一人を除いて、まだ無防備じゃない。仕事モードで話したり、おもしろキャラを取り繕ってみたり、シモネタ大好き人間にシモネタを言ってみたり……。どこか作ってるし、どこかわざとらしい。そういう人付き合いは疲れる。疲れるけど、円滑にするために多少なりとも必要だと思う。
ただ、普段そうして疲れる人間関係に身を置いているから、僕の心の扉の最後の一枚をくぐり抜けてきた人と一緒にいると楽しいし、癒やされるんだろうね。
回りくどい話をしたけど、結局のところ、みんなありがとうという話。
僕は幸せです。
タイトルはthe pillowsの「天使みたいにキミは立ってた」の歌詞の一部。
「開くことのない最後の扉をたやすくくぐり抜けてキミは立ってた天使みたいに」
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