雑草を食べる、吸う。

 僕が住んでいるところは田舎だ。田舎と言えば自然だ。自然と言えば……。


 雑草だ!


 雑草がそこかしこに生えているということは、食材がそこかしこに自生しているということ。僕はどうしても食べるものに困ったとき、雑草がわんさか見つかる季節であれば雑草を食べたり吸ったりすることがある。


 食べられる雑草・野草と言えば、代表的なのはこいつらだろう。


・たんぽぽ

・三つ葉

・ユキノシタ

・ドクダミ

・ヨモギ

・ギボウシ

・ノビル

・スベリヒユ


 他にもアカツメクサや、ヒメジオン・ハルジオン、アカザ・シロザなど食べられる雑草・野草はたくさんある。


 これらを食べる前には、必ずアクを抜かなければならない。そもそも地面に生えている物だし、知らない人は普通に踏むし、汚い。水にしばらく浸してから調理することをオススメする。


 雑草・野草は基本的に天ぷらにするのがうまい。


 ギボウシは食感がアスパラに似てるし、タンポポはほろ苦くて酒に合う。


 アカザ・シロザなんかは和え物にしてもいい。ノビルはニラの代用品として焼き料理に使ってもいいし、スベリヒユは生でもうまい。雑草のポテンシャルはかなり高いのだ。それなのにみんな「雑草だから」と食べようとしない。雑草を拾ってると怪訝な顔をしてくる。「え、雑草やん」みたいな。食えますから。うまいですから。


 また、雑草は一応吸うこともできる。


 雑草を吸うには、まず下処理が必要だ。水に浸してアクを抜き、洗い、乾燥させる。それから煙草葉と同じくらいの細かさに刻む。これで準備が整った。

 手巻きたばこ用のペーパーで巻いてみると、燃焼速度が恐ろしく早い。一瞬で消える。吸えたもんじゃない。誰だこんなことやったのは。僕だ。


 雑草を吸うのに適しているのは、ヴェポライザーだ。煙草葉や茶葉などを詰めて吸うことができるのなら、雑草だって吸えるはず。試しに吸ってみたことがあるが、普通に吸える。

 ただ、おいしくはない。


 そこで僕は、雑草に香りを着けることにした。


 僕が使ったのはラム酒やバーボンなどの洋酒だ。下処理をした雑草をタッパーに入れ、好みの洋酒を染み込ませたティッシュなどを雑草に直接触れないように置く。こうすることで雑草が加湿されると共に洋酒のフレーバーが着くという計算だ。まあ、手巻きたばこ用の葉っぱに香り付けをするときと手順が同じなんだけどね。


 着香が終わった雑草を吸う。


 うん。


 普通に吸うよりはおいしくなった。だけど、雑草の青臭さというかえぐみというか、そういうものが消えない。むしろ湿度が高くなったことでより豊かに香るようになった。それでも洋酒のおかげでなんとか吸えるくらいにはなる。


 まあ……ニコチン摂取はできないから、煙草の代用にはならないけどね。


 煙草吸いたいけど無一文。どうしても口さみしい。そんなときにしかオススメしない。

 僕は完全に興味本位だった。食えるなら吸えるやろ、みたいな。安直。バカ。アホ。間抜け。


 ネットスラングをお借りして総評を述べるとしたら……。


 草吸うと草生える。


 食べるだけにしといたほうが良さそうだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る