何が僕を動かすのか

 1週間に2回ほど「もうダメだあ死ぬんだあ」という気持ちに襲われる。2019年9月11日22時30分現在もそうだ。酒を飲んでも解消されなかった。というかこれは完全にバッドトリップというやつだ。酒がダウナー効果をもたらしてしまった。なんたる失態。自業自得。やめろよ馬鹿野郎。自分の頬を引っ叩く。手加減してしまう。手加減すんなよ。無理言うな。自分で自分に文句を垂れながら相変わらず煙草に火をつけた。落ち着く。落ち着くけど焦燥感は常に胸にある。焦燥感を一時的に煙が包み込んでぼかしてくれるに過ぎない。ヤバい。何がヤバイのか自分でもよくわからない。とにかくヤバい。それだけが胸の中を支配している。この感覚はいつ消えるのかわからない。

 酒を置く。少し胸がむかむかする。これ以上飲むと吐くぞというサインだ。「お水」と呟いて水を飲む。酒を飲んだ後の水がこの世の飲み物の中で恐らく一番うまいのではないだろうか。炭酸水もいいが炭酸水は喉を刺激してしまう。一気に飲めない。グビグビ飲める水が最高最強最善なのだ。

 心拍が早い。

 この「もうダメだあ死ぬんだあ」という気持ちは消そうとするとより強く襲ってくる。これは精神交互作用というものだ。不安や恐怖を消そうと意識すればするほどに不安や恐怖がより強くなる。人目を気にして髪の毛を弄ったら余計に人目が気になるようになるというアレだ。

 「もうダメだあ死ぬんだあ」という気持ちは意識しないのが一番の薬になる。仕事をするときだけは意識しなくて済む。仕事をしていれば他の物事を考える余裕などなくなる。特にマイナス感情に関しては考えてしまうと他の事を考えられなくなるため、仕事をしているときには絶対にご法度だ。だから自分は仕事中、ネガティブな物事を意識の外に置いているのだろう。

 消えることのないこの感情と向き合う術は、最早意識の外に置き去るしかない。

 だから僕は「仕事めんどいなあ」と思いながらも仕事をしてしまう。ぼうっとしていると落ち着かないから何かをしてしまう。こうして文章を書いてしまう。今日は仕事以外で文章を書くつもりはなかったのに。あ、SNS投稿とかLINEの返信とかは別だ。ああいうのは何も考えずに書いているから「書く」うちに入らない。書くとは考えることなのだから。

 ただ、この文章が何かを考えて書かれているかというと微妙なところだ。僕を突き動かすものは現状に対する危機感と未来に対する恐怖心からくる「もうダメだあ」という気持ち。それを消すすべはなく、消えたらむしろ僕は何も行動しなくなるのではないか。ここらへんがこの話の落としどころか。

 酒が回っている。これ以上書いてもなんにもならんだろう。

 最後にひとつ。

 僕は自身のマイナス感情を消したいと願っている。だけど、完全に消したら僕の行動原理がひとつ消え失せてしまう。消せば心は楽になるが余計にダメ人間になる。この自己矛盾に決着を付けることは今の僕にはかなわない。

 だから酒を飲む。

 はあ。

 グビグビ。

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