生きることのぼやき
多くの人にとって生きることはただ「生きること」に過ぎないと思う。当たり前のように朝に起きて夜に寝る。当たり前のように日々を過ごす。生きていることに疑問を感じない。苦痛を感じることはあるだろうが、それは「仕事が辛い」「人間関係がしんどい」としっかりとした原因がある。
僕は、ただ生きているだけで苦痛を感じる。朝に起きることも夜に眠ることも苦痛だ。楽しむことも悲しむことも全て、最終的には苦痛になる。楽しいと笑うけれど、その気持ちが冷めた瞬間にそれは苦痛に変わるんだ。生きるだけで胸が苦しい。憂鬱だ。世界がどんよりと重く感じる。
「空を見ると開放感がある」という人がいるだろう。空が遠いとか、空が広いとか。だけど僕は「空が近い、空が狭い」と感じる。胸中にあるのは閉塞感だ。夜空だけは、暗いから距離感がわからない。距離感がわからないから好きだ。
煙草も好きだ。煙が体を通っていく感覚がわかるのがいい。喉にキック感があるのがいい。健康被害から禁煙を訴求してくる人もいるけど、僕にとって健康被害は別にマイナス要素じゃない。寿命などくれてやる。
今だけでいい。今だけがあればいい。
だけど、今というのは連綿と続いていくものだ。「今」を積み重ねてしまえば未来にたどり着いてしまう。僕は未来が嫌いだ。僕は未来を想像したくない。僕に未来は不要だ。時が止まればいいと思わなくはないが、それだとずっと生き続けることになってしまうのでダメだ。結局僕は死に向かって歩き続けていきたいのだ。
生きているだけでしんどい。だから生き続けたいとは思わない。だけど死にたいとも思わない。生きたくもなければ死にたくもないから、僕は緩やかに、死に向かって歩き続けている。それがいつでも構わない。ただ死ぬときになるべく多くの思い出を持って行けるように、僕は犯罪以外はなんでも経験したいと思う。そのためには金も愛情も家族も友人も恋人もすべてが必要だ。だけど今の僕は友人以外何も持っていない。
だから僕は「何も欲しくないのに全てが欲しい」と思う。
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