この『平安キュリオシティ』の主人公が、日本が世界に誇る名著『源氏物語』の末摘花に転生した現代の女性だとか、彼女に仕える3人の老婆のモデルがシェークスピアの『マクベス』にあるとか、学校の教科書に載っていた平安文化を彩る人物の名前がたくさん出て来るとか…。それから、ストーリーそのものが『源氏物語』と紫式部を、お見事!と叫びたくなるほどにパロデイっているとか…。
しかしながら、この『平安キュリオシティ』を読みながら、眉間に皺を寄せて、そんなことを事細かく分析する必要はない。
作者・杉浦ヒナタさんの人並み外れた読書量と知識の世界に、読者は素直に溺れてしまえばいいと思う。そして、彼の人並み外れた読書量から得た知識が淫靡な<妄想>に昇華した世界を、ある時はくすりと笑いながら、またある時は腹を抱えて笑いながら、楽しめばいいと思う。
そして、読了後に、「読書と知識(妄想)ほど人生を豊かにするものはない」と思いいたる読者が、『カクヨム』で一人でも多く増えればいいなと、杉浦ヒナタさんの熱烈なファンの私は思います。