黒猫のうたた寝(後編)
溜息をついた黒猫は、夜の闇と混じりあっている澱みの、その上を見つめた。
「ああ、これは酷いな。感染症の
それにしても……と黒猫は呟いた。
「この黒猫の身でできることは限られているのだよ。せいぜいが外の世界とこちらの境界を厚くして、こちらへの影響を最小限にすることぐらいだ」
『そうすれば、また
「そうすれば、この澱みも消えてくれるのかい?」
『「それなら、はやいとこ頼むよ!!」』
闇鴉たちの声に
「それは……そうするつもりだけれど」
黒猫が思案しながら答える。
「境界を厚くして、侵食してきた澱みだけは、何とか吸い込んでしまおうと思うが……」
「その後、私はこの場所でまた、今度は少し深い眠りにつくことになるだろう」
「その間、また澱みが侵食してこないように、お前たちは狭間で、見張りをしてくれるかい?」
闇鴉たちは、暫し考えていたが、声を合わせて言った。
『「わかった」』
『そうして、また澱みが侵食してきたら』
「黒猫を起こして知らせるよ」
◆
黒猫は境界を厚くしたあと、澱みを吸い込んで、それから、倒れるようにその場で眠りについた。
こうして夜の深淵はいつもの闇を取り戻した。
『それにしても』
「人というのは業の深いものなのだねぇ」
『あれほどまでの澱みを』
『「恐ろしい、恐ろしい」』
『そして』
「なんと、哀しい」
闇鴉たちが囁き交わしたあと、また、夜の深淵には小さく
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