夜闇に這うもの

それに触れてはいけない。

それの行き先を塞いではいけない。

それを追いかけてはいけない。

それを長く見つめてはいけない。


それの気配を感じた時は

耳を塞ぎ

目を瞑り

口を閉ざしていること。


それは” 孤影こかげ ”とは違う。

もっとなもの。


油断していると、足に巻きつかれ、

そのまま取り込まれてしまう。


だから、

身動きせずに、息を殺して、やり過ごせ。


触れてはならない禁忌というものが、何処にもあるのだ。



それは月の光が射さない夜に這い出てきて

月の光を浴びると、取り込んだモノと一緒に消えていく。



『「ご注意あれ」』


闇鴉たちが、いつにも増して囁き声で警告する。

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