言葉の魔法

 皆さんは言霊を信じますか? オカルトチックに言うならば言葉に霊的な力が宿ることをさします。今回はそんなオカルトチックな話ではなく、現実的な言葉に関するお話です。

 私は前回『いじめ』という言葉が嫌いだといいました。なぜならこの『いじめ』という言葉には『暴言』、『暴行』、『恐喝』、『自殺教唆』などなど……いくつもの犯罪行為や非人道的な行為が隠されております。しかし『いじめ』という言葉を使うことでそれらの行為がなぜか軽く思えてしまいます。また、『いじめ』ということで加害者側もこれぐらいと思い込んでしまうのではないでしょうか。『窃盗』である『万引き』や、『道路交通法違反者集団』である『暴走族』、『非行少年』である『ヤンキー』などなど。こういった言葉はたくさん存在すると思います。これほどまでに言葉一つで軽くなってしまうことがあります。

 これを私は言葉の魔法や、言葉の魔術と称しています。

 ですが、言葉の魔法は時としていい方向にもいきます。前回お話した罪業妄想にも関わるのですが、悪い方向悪い方向へと考えていくとなんでも悪く見えます。短所は長所といいますよね。『おおざっぱ』というのか『おおらか』というのか『行き当たりばったり』というのか『臨機応変』なのか……視点を変えることで悪いこともよく思えます。この魔法は使い方次第です。間違った使い方をしなければきっといい方向に移っていくのではないかと思います。

 濁った水面に映る顔は濁って見えます。悪い方向ばかりに目を向けると悪くいくことでしょう。それと同時に自分の醜い行動を他者にかけてばかりいると、自分の顔が醜く歪んでいくことに気が付きません。汚れきった湖に自分が勝手に用意した綺麗な鏡を乗せて自分は汚れていないと思い続けているだけですから。

 言葉の魔法を悪用せずきちんと使っていくのが大切かなと思います。

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