青い風船 「アド・バルーン」異曲

安良巻祐介

 

 道を流れていると、向こうから、青い風船を持った男が歩いてきた。

 背広を着た、白髪と白髭の、年配男である。

 子どもへのお土産かな、と思いながら、微笑ましく思っていると、すれ違いざま、

「たましいですよ、私の」

 と囁いた。

 振り返ると、横断歩道の上で、男は風船を空へ向かって手放すところであった。

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青い風船 「アド・バルーン」異曲 安良巻祐介 @aramaki88

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